2022年11月、岐阜県岐阜市で行われた「ぎふ信長まつり」には、木村拓哉さんが日本の歴史のカリスマ・織田信長に扮し、地元出身俳優・伊藤英明さんと共に岐阜の街を熱狂させました。

木村さんの影響で、信長をあしらったポチ袋や有名なセリフが書かれた巨大垂れ幕など、様々なものが話題になりましたが、その後どうなったのかを取材しました。

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■木村さんがSNSに投稿し、即完売した「ポチ袋」!徳川家康にちなんだ新作も…

 木村さんがインスタグラムに投稿したことで話題になった、信長をあしらった「ポチ袋」。ぎふ金華山ロープウェーの土産売場では、その後、入荷待ちの状態が続いたといいます。(※11月11日時点)

 1868年(明治元年)に創業した岐阜県美濃市の販売メーカー「シイング」を取材しました。従業員は6人で、地元特産の和紙を使ったオリジナルのノートや便せんなどを販売しています。

会社の前には「当社商品『織田ちん』なのですが、注文が殺到しておりまして在庫が全く無い状態です」と張り紙がされていました。

社長を直撃取材し、当時の様子とその後を聞きました。

鷲見社長:
「遅めのお昼ご飯を食べにきた時に、社員から連絡が入って『なんかやばいことになっている』みたいな。急ピッチで生産を進めさせていただいていますので、来週あたりからは順次出荷できるかなと思っています」

話題のぽち袋「織田ちん」は生産量を6倍に増やし、出荷を再開する見込みということです。

ポチ袋は2年前に、当時の大河ドラマにちなんで考案。「織田ちん」のほか、「明智貢いで」「ありが道三」の2種類があり、いずれもこれまでにない売れ行きだそうです。

鷲見社長:
「正直コロナの影響をすごく受けている会社だったので、ぎふ信長まつりですごく元気をいただいて。木村拓哉さんと伊藤英明さんに感謝しています」

 そして、新たなポチ袋も作っていました。2023年の大河ドラマ「徳川家康」にちなんだものです。

鷲見社長:
「これが『徳川埋蔵金』と『徳川マイぞうきん』」

新作もしっかりダジャレをきかせていました。

鷲見社長:
「小さい会社ですけれども、及ばずながら岐阜県に貢献できるような商品が作れるといいなと思っています」

■もともとは“トイレで見つけた言葉” Twitterで6万いいねを集めたお寺の掲示

 岐阜県各務原市の善休寺(ぜんきゅうじ)に掲示された言葉が、ツイッターで6万を超える「いいね」を集めました。

「俺はキムタクになれないが キムタクも俺にはなれない」

11月10日にお寺を取材すると、まだ掲示されていました。当初はまつりが終わったら外す予定だったものの、近所の人の薦めもあり期間を延ばしたそうです。

この言葉は善休寺の住職が、親戚のお寺の住職から教えてもらったものだといいます。そこで、そのお寺「順慶寺」がある瀬戸市に向かいました。

順慶寺の住職:
「驚くと同時に嬉しいですね。10年以上前に飲食店のトイレに貼ってあった言葉で。見た時に『これは仏教に通じるものがある』と思って、ずっと頭の中に残っていた。『比べる必要はない、あなたはあなたのままでいい』ということを私たちに訴えかけている言葉なんじゃないか」

身の回りで心に響く言葉を探し、広めているという住職。2年前からカレンダーとして配布しているそうです。2023年のカレンダーの一部を見せてもらいました。

『恒河沙の数より多き死の上に かたじけなくも支えられ生く』

順慶寺の住職:
「ガンジス川の砂の数ほどたくさんの死の上に、命のつながりの中で私たちは確かに今ここに生きている。その上でかたじけなくも支えられて生きていることを知ってほしい、という思いがこの言葉には込められています」

■甲冑や小道具になんと馬まで!映画「レジェンド&バタフライ」と同じものを使用

 木村さんの馬や甲冑に関しても調べました。甲冑は、映画「レジェンド&バタフライ」で使われているものと同じもので、木村さんが演じた織田信長が38歳の頃、岐阜城を手に入れて「天下布武」を掲げて高みに上る時期を演じていた時の衣裳だといいます。小道具もすべて持ち込んで着付けをしたということです。

馬は、映画の中で木村さんが最も多くのシーンで乗っている馬です。今回の「騎馬武者行列」のために手配したといいます。

馬の名前は、木村さんの方はメスの「リバティ」、伊藤英明さんの方はオスの「ビター」です。

■「ちょ待てよ!」女子大学生が手掛けた巨大垂れ幕

「騎馬武者行列」のゴール付近に掲示された巨大な垂れ幕は、木村拓哉さんのドラマで有名なセリフが書かれていて、ツイッターで1万を超える「いいね」を集めるなど話題になりました。

岐阜女子大学の書道部が書きましたが、イベント後に学校を訪れると、まだ残されていました。

縦7メートル・横5メートルの大きな垂れ幕は部室の片隅にあり、当時は飾る場所を探す段階でした。

手がけたのは、4年生の宮本真未さん(22)と今福宮緋(みやび)さん(22)。

2人は日展での入選もあるほどの腕前で、今回、岐阜に来た木村さんへの感謝ともてなしの気持ちを込めて書いたといいます。

今福さん:
「『ちょ待てよ!』っていうのは、木村さんが出演されてる作品の中でも一番印象強い言葉だったので、書きました。筆も大きくて、全身を動かして書いたので難しかったです」

宮本さん:
「色を使ったりとか、大きな字でバッと目立つような感じに。家族とかから連絡があったりとか、Twitterとかで色々バズってるのを見てビックリしました」

垂れ幕が注目を集めたことが、今後の励みになったという宮本さんと今福さん。機会を与えてくれた木村さんに感謝したいと、書をしたためました。

宮本さん:
「今回私が書いたのは『皆の者 出陣じゃ』という言葉を書きました。私たち4年生もまた新しい社会に向かって出陣するという意味も込めて、この言葉を選びました」

今福さん:
「私は『書の魅力を伝える』と書きました。今回信長まつりで木村拓哉さんがいらっしゃって、私自身も背中を押されたので、夢である“書の魅力を伝える教師”に向かって頑張りたいという思いから書かせていただきました」

※2022年11月11日放送