連日値上げのニュースが続いている。名古屋の激安スーパーで、買い物テクニックをウォッチした。

■「場所を覚えておかないと買えない」チラシ特売品の確保術

 名古屋市緑区の「ウオダイプラス」は、創業74年の老舗スーパーで、多い日には3000人が訪れる人気店だ。

【動画で見る】チラシは暗記済み…激安スーパーで繰り出される“達人の買い物術”

取材した日はブロッコリーや葉物野菜、鮮魚・精肉・フルーツも“お値打ち価格”でズラリと並んでいた。

冷凍食品に乳製品、そしてチラシも激安価格のオンパレードだ。

看板には「食費を半分に」の文字が並ぶ。

開店の30分前、すでに行列ができていた。

常連という男性に並ぶ理由を聞いた。

常連の男性客:
「ここへ早く並ぶ人は、チラシに載ってない、その日にしかない安い物を買いたいもんでこうやって来ている」

並ぶ客はチラシを暗記して買い物に臨んでいるという。

ライバル店のチラシを片手に、どちらの店が値打ちかを情報交換している客もいた。

午前10時。いよいよオープン。先ほどの男性客の買い物術を見せてもらうことにした。

常連の男性客:
「10円(税抜)のカイワレともやしがあるんで、一応確保しときましょうか。39円(税抜)の納豆があれば…」

リポーター:
「今日、ありますかね」

常連の男性客:
「(納豆)あるじゃないの。あとね、焼き鳥缶詰が今日100円なんで」

リポーター:
「本当だ、(棚の)そんな端っこに」

常連の男性客:
「場所覚えておかないと、いくら安売りのチラシがあっても買えない」

商品の位置を覚えておき、値打ち品の購入漏れを防ぐ。

買い物上手のテクニックだ。

■遠方から仕事用のドリンクを大量買い…近くの実家の買い物と一緒にすることで一石二鳥に

 レジ周りを見ていると、「大量買い」や「まとめ買い」をする人が多くみられた。ジュースを大量に買い込んでいる女性がいた。

ジュースを大量買いした女性客:
「(ジュース)160本。子供関係の仕事をしているので、コロナになってからこういう個包装の物を買っています。経費はあがっていきますね。安く買いたいと思って、ちょっと遠いんですけど、車で40分くらいですかね」

1本55円のパックジュースを求めて、40分かけて車で来たという女性。

ジュースを大量買いした女性客:
「実家が緑区なので、母と一緒に買い物しがてら」

家の買い物も一緒に済ませていた。

職場も公認しているということで、一石二鳥の買い物術だ。

■買い物は「冷蔵庫を空にしてから」食品ロスの削減にも

 レジを待つ4人家族は、4つのカゴが満杯で、金額は2万円を超えていた。

肉や魚そして牛乳が7本。相当なまとめ買いだ。

4人家族の夫:
「冷蔵庫、ほとんどいま空なので…」

「冷蔵庫がほとんど空」と話すこの一家の家で、冷蔵庫を見せてもらった。

4人家族の妻:
「(冷凍庫の中は)本当に、むね肉1個。一番下(の野菜庫は)、野菜とフルーツですけど、(あるのは)ニンジンとかぐらいですね」

確かに中は、ほぼ空っぽだった。どう買い物術に結びついているのか。

夫:
「入るぐらいスペースができるまで買いに行かないっていうのはありますね。いろいろムダがありますから」

妻:
「(料理は)ここ(冷蔵庫)にあるものから使っていくので」

冷蔵庫の中のものを使い切ってから買い物へ。

こうすることで、1日の生ゴミの量は小さな袋2つ程度に。食品ロスがほとんどない、買い物テクニックだった。

たくさん買った牛乳は自家製ヨーグルトに。乳製品の値上げにも対応していた。

■再来店した男性…目当ての商品がなければ買わない

 再び店のレジ近くで取材を続けると、朝一番に一度買い物を済ませたはずの、あの男性が店に戻っていた。

男性:
「さっき半額だった卵焼きがね、弟が『もし売っとったら買ってきて』って言うんで」

先ほどは、半額の卵焼きを“量が多い”という理由で見送ったが、弟に頼まれて購入しに来たという。

しかし半額の商品は売り切れ、2割引きのものが残っていた。

常連の男性客:
「これは失敗でしたね。これで終わりですよ」

リポーター:
「これで終わりですか、何も買わずに」

常連の男性客:
「ええ」

目当てのものがなかったら何も買わない、という潔さ。

これも立派な買い物術だ。

■肉や魚は他の店で 食材ごとに店を変える親子

 カゴの中身がほぼ野菜のみという親子がいた。

親と買い物に来た娘:
「いま3軒目です。3軒回ってきて、車の中にいっぱい入っていて」

食材ごとに店を決めていて、“ハシゴ”しているという親子。肉や魚はほかの店で買うという。

親と買い物に来た娘:
「面倒くさいといえば面倒くさいですけど、これだけいろいろ値段が上がってくると、結構する(食費がかさむ)ので」

1週間に1回はスーパーを巡り、食費を抑えるためには労を惜しまない。

この親子は買い物の後に必ずやっていることがあるという。

娘と買い物に来た親:
「献立を決めまして、1週間。ボードに書いて料理しています」

親と買い物に来た娘:
「安い物はこれがあるから、これをメインに何にするみたいな形で相談しながら…」

■かごの中身をキレイに整理 買い忘れを防ぐ買い物術

 カゴの中にキレイに食材を収めている女性がいた。

カゴがキレイな女性客:
「絶対こういう入れ方ですね、私いつも。コーヒー、その上は弁当・重いもの・野菜、間にお菓子とか」

なぜ、置き場所を決めているのか。

カゴがキレイな女性客:
「何買うって決めて、買い忘れたくないので。(置き場所を)決めておくと、アレ買ったってパッと見てわかるじゃないですか」

買い忘れを防ぐ買い物術。

こうして置き場所を決めることで、無駄なものも買わずに済むため節約にもなるという。

■“最安値を買う”意識で「値上げを感じない」女性

 値上げをそれほど感じていないという女性がいた。この値上げラッシュの中、なぜ感じてないのか。女性の買い物を見せてもらった。

女性客:
「ヨーグルトも、いつもたいていどれかが99円、もしくは109円のものがあるはずなので。ここのメーカーと決めてなくて、99円か109円のヨーグルトを買います」

精肉コーナーでは…。

女性客:
「(鶏モモ)4枚入りにします、10円安いので。2枚だとグラム98円(税抜)、4枚だとグラム89円(税抜)で計算されているんですよ、同じ品なんですけど。なので、たくさん買って単価を安くして、半分は冷凍にします」

パンのコーナーでは、安い時は109円で買うことができる薄皮パンが、この日は149円だったので、買うのをやめた。

女性客:
「何でも最安値で買うっていうことだと、そんなに値上げを実は感じてなくて…。まぁ、最安値価格がちょっと上がったなとは思うんですけど」

日々の買い物の中で、それぞれの商品の最安値を知っておく。

できそうで意外とできない、買い物術だ。

■「飲食業は捨てるものが赤字になる」カフェ経営者の食材活用術

 メモを見つめ、真剣な表情で買い物をする女性がいた。名古屋市南区でカフェを経営しているという。

カフェ経営の女性客:
「これは、お店のメニューにのっとって買い忘れがないようにしながら」

メモを用意して、無駄なく必要なものだけ購入。買い物上手の基本だ。

カフェ経営の女性客:
「使わないものはいらないって。どんなに安くても買っちゃダメって心掛けています」

徹底的に無駄を省く。経営しているカフェに伺うと、テイクアウト用に総菜の食材を作っていた。

食材は、全て無駄なく使う。

カフェ経営の女性客:
「かぶの葉っぱは料理に入りますし、大根の葉っぱと皮はきんぴらにしておまけにつけます。捨てる分が赤字になるっていわれているので、飲食業は。だから今はもう、何もかも捨てないように努力して、頑張っていくしかないかなと思っています。安いものを使って無駄をなくせば、また来週も仕入れができる」

2022年11月29日放送