将棋の藤井聡太五冠の「名人」挑戦をかけた戦いは、プレーオフに持ち込まれることになりました。5日からは棋王戦の第3局が行われますが、こちらはタイトル奪取目前です。一気に七冠の可能性が見え、藤井五冠の地元・愛知県瀬戸市は盛り上がりを見せています。

 春の陽気に包まれた2日の静岡市。伝統のあるタイトル「名人」への挑戦がかかる順位戦A級リーグの最終局が行われました。

 トップ棋士10人が一斉に集まり熱戦を繰り広げることから「将棋界の一番長い日」と呼ばれていますが、藤井五冠は2時間以上残し快勝。リーグ7勝2敗と10人中トップに立ちます。

 小学生の頃、「名人をこす」と書いていたことに触れられると…。

藤井五冠:
「それは小学校低学年の頃の話なので、ちょっとそろそろ時効にしてほしいなと思っているんですけど。順位戦を上がっていって、その頂点に名人があるというシステムなので、少しずつ近付けているのはよかったと思う」

【動画で見る】小学生の頃に「名人をこす」…藤井五冠の快進撃に沸く地元・瀬戸市 定休日返上し“祝賀メニュー”の店も

 しかし、そう簡単に名人挑戦とはいきません。同じくリーグ首位タイだった広瀬章人八段も勝利し、3月8日に行われるプレーオフに持ち込まれることになりました。

 現在、名人のタイトルを持つのは渡辺明二冠です。藤井五冠は、渡辺二冠が持つもう1つのタイトル「棋王」にも挑戦していて、奪取まであと1勝。「五冠」から「六冠」になろうとしています。

 その決戦を5日に控え、地元・愛知県瀬戸市では早くも盛り上がりを見せています。

(リポート)
「瀬戸市の信用金庫では現在、藤井聡太五冠を応援するパネル展示が設置されていまして、瀬戸市が所有する秘蔵写真13点などが展示されています」

 笑顔がかわいらしい、まだ幼い藤井五冠。9歳で日本一に輝き、市長を表敬訪問した際の1枚です。

 2022年3月に瀬戸信用金庫栄町支店の一角に開設された「藤井聡太棋士応援コーナー」にあった、将棋連盟を通じて本人に届けられるという応援メッセージも、「六冠目指して頑張って!」「瀬戸の宝です」などと期待が込められています。

瀬戸信用金庫の担当者:
「地元棋士ということで、期待をするばかりなんですけども。間違いなく六冠のお祝いを瀬戸市民の方々と一緒にできると思っております」

 駅ビルにある喫茶スマイルでは、早くも最年少六冠獲得を祝う「新メニュー」が。

喫茶スマイルの鈴木さん:
「スマイル6カップ盛りです。(高さは)50センチぐらいあるかと思います」

 コーヒーカップを6つも重ねた斬新な見た目で、六冠までの努力の積み重ねを表現しました。

喫茶スマイルの鈴木さん:
「1番下が瀬戸なので瀬戸焼きそば、2番目が勝ってほしいという願いを込めてカツ、3番目に季節のフルーツを入れて、4番目に成人を迎えられたので紅白の大福、5番目にカラフルなチョコレート、1番上にホッとしたという意味でホットコーヒーを入れました」

 中でもお勧めだというのは20歳の藤井五冠を祝う紅白の大福です。赤は芋あん、白はつぶ餡で、それぞれ生クリームが入っています。

喫茶スマイルの鈴木さん:
「対局がずっと続いていて苦しい場面を見るので、でもあと少しだから頑張れ!っていう気持ちです」

 5日に誕生するかもしれない「藤井六冠」。喫茶スマイルは翌日、定休日を返上して営業し、「スマイル6カップ盛り」を提供するということです。