衆議院小選挙区の「10増10減」で新設された選挙区の候補者調整を巡り、連立を組む自民党と公明党の間に隙間風が吹いていますが、愛知16区でも自民党の地方議員から怒りの声があがっています。

公明党の山口代表(6月5日):
「自公の連立政権が生まれてきた歴史、政権を奪還した時の思い、こういう原点というものをお互いによく問い直すべきではないかと」

 5日、国会での講演で「自公連立」の原点に立つべきと話した公明党の山口代表。今、自公連立がかつてない危機に陥っています。

公明党の石井幹事長(5月25日):
「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」

【動画で見る】選挙区には既に候補予定者のポスター…衆議院愛知16区巡る『自公の候補者調整』地元自民から上がる怒りの声

 問題の発端は新設される東京28区の候補者調整で、公明党が希望していた独自候補擁立を自民党が認めなかったこと。これで東京では、自民党と公明党が絶縁状態になりました。

 この煽りを受けたのが、愛知16区です。

(リポート)
「丹羽県連会長らが愛知16区に関して申し入れを行うため、茂木幹事長の元へ向かいます」

 6月1日、東京の自民党本部を訪れた愛知県連の幹部たちに、茂木幹事長はこう告げたといいます。

<茂木幹事長>
「愛知16区に候補者を擁立するのは見送るように」

 次回の総選挙から新設される愛知16区。自民党本部はここを公明党に譲るよう求めました。

 愛知16区は犬山市や小牧市などが選挙区です。ここの一部はかつて公明系の新進党議員が当選した旧愛知6区が含まれ、公明側は「当選できる」と睨んでいます。

 公明党愛知県本部の代表・里見隆治参議院議員に聞きました。

公明党の里見参院議員:
「公明党としても非常に近しく、ご縁がある地域だと思っております。今までの歴史の上にしっかりとまた伊藤渉さんを押し立てて、頑張っていきたいと思います」

 しかし、愛知16区の自民党の地方議員は怒り心頭です。

自民党・小牧市議会の澤田議長(6月2日):
「100%納得できない。(公明党支援には)動きません。選挙は応援しません」

 小牧市議会の自民党会派・牧政会は、所属議員12人の全会一致で公明党への選挙協力は一切しない方針を決定しました。

 愛知16区内の県会議員も、党本部主導での候補者調整に強く反発しています。

自民党・水野富夫県議:
「誰一人納得してません。動くつもりはないです」

自民党・山下智也県議:
「地元として(党本部の決定を)受け入れるか、納得できたかという質問については、非常に厳しいと答えざるを得ない」

 既に公明党は、16区の各所に候補予定者のポスターを貼り、着々と選挙準備を進めています。

(リポート)
「あちらにも伊藤渉議員のポスターが2枚貼ってあります」

 自民党内で足並みが乱れていることについて、里見参議院議員はこう話します。

公明党の里見参議院議員:
「何が政権の強化、政権運営の強化につながっていくのかという観点で考えれば、選挙協力というのもより充実したものになると思います。やはり基盤となるのは、お互いの信頼関係ということでありますので」

 野党の2人の候補予定者は、いずれも地歩を固めることに専念する考えです。

立憲民主党の松田功氏:
「(与党の)ゴタゴタがあろうがなかろうかではなくて、自分たちが何をやるのかということが重要だと思います」

国民民主党の福田徹氏:
「政治経験のない新人である私は、与党がどういう状態であっても信頼を得ていくしかないので、自分がやるべき活動は変わらない」

 候補者調整の溝が埋まらない中、公明党の山口代表は5日、次のように述べています。

公明党の山口代表(6月5日):
「東京以外には(協力解消の)結果は及ぼさないということで、連立政権をしっかり維持していくことが重要だと。感情的になっているのが現状ではないかと思っておりますので、ここは頭を冷やしてよく考えるべきと」