「年収の壁」について、岸田総理は2023年10月から見直しを実施するとしています。

 従業員101人以上の企業の場合、パート労働者の年収が106万円以上になると配偶者の扶養を外れ、社会保険料を支払う必要があります。その結果手取りが減って、この間が「働き損」になります。

 また従業員100人以下でも、年収130万円を超えると同様に手取りが減って働き損になってしまうため、この金額を超えないように仕事量を調整する、これが年収の壁といわれています。

 今回の見直しでは「130万円の壁」について、年収が130万円を超えた場合でも、連続2年までは扶養に留まることができる案が検討されています。

 例えばAさんの場合、これまで週4日・1日6時間勤務で年収124万円だったとすると、1日1時間増やして7時間勤務にすると、年収は144万円で手取りは140万円と、130万円の壁を超えても手取りは上回っています。

 また、週4日を5日に増やしたとすると、年収は約156万円で手取りは150万円となります。

【動画で見る】不公平との声も…10月から実施する「年収の壁見直し」“130万円の壁”巡る検討案の中身とは

 年収の壁がなくなり、手取りが減らない場合は働きたいか聞くと「とてもそう思う」と「まあそう思う」でおよそ8割を占めています。

 今回の見直し案はパート従業員について年収の壁を解消し、手取りが減らないというメリットがありますが、自営業者の配偶者はもともと扶養の対象にならず、年金などの保険料を支払っていることから、不公平との声も出ています。

 2025年には年金制度改正が控えていて、ここで抜本的な改革が行われるのではないかといわれています。