10月31日は、ハロウィーンです。2023年は新型コロナの5類移行後、初めてのハロウィーンで、4年ぶりに制限のない中で迎えることになります。ハロウィーンの歴史や各国のイベントについてまとめました。

■コロナ収束し再び熱帯びる…ハロウィーンの発祥は

 子育て世代のお出かけ情報を配信するサイトがハロウィーンにすることの予定について尋ねたアンケートでは「料理やお菓子を買う・作る」と答えた人が13%から49%、「仮装して出かける」という人が12%から24%と大幅に増え、「何もしない」という人が44%から16%と大幅に減りました。

【動画で見る】「異教の習慣」禁止のサウジでも…ハロウィーンの成り立ちや各国独自の風習 日本で浸透した経緯は

特にファミリーでは、ハロウィーンを何らかの形で楽しむというのが普通になりつつあります。

ハロウィーンとは、発祥の地とされるアイルランドの大使館によりますと、もともとはアイルランド語で「夏の終わり」を意味するサウィンという祭りが起源とされています。

数千年前の古代ケルト人はこの時期に死者の魂が、幽霊などの姿で家に戻ってくると信じられていました。

日本の「お盆」のような形ですが、日本とは異なり、死者の魂を迎えるのではなく、機嫌を損ねないよう仮装して身を隠すようになったといわれています。

19世紀以降はアイルランドの人々が、アメリカに移民として渡り、よりイベント的要素が強まって、世界に広まっていったとされています。ランタンもアメリカで、カブからカボチャに変化しました。

日本では、キティちゃんやスヌーピーなどのキャラクターグッズを販売するキデイランドの原宿店が、日本のハロウィーンの発祥といわれています。

1970年代にいち早くハロウィーングッズの販売を始め、83年には表参道で日本初の仮装パレードを行いました。ただ当時の参加者は100人程で、ほとんどの人が知らない存在でした。

その認知度を一気に高めたのが東京ディズニーランドです。97年に初めてハロウィーンイベントを開催し一躍、世間に知られるようになりました。

2023年は1カ月半にわたりさまざまなイベントが開かれていますが、最初の年は1日だけのイベントだったということです。

認知度が高まったことで、お菓子や雑貨などさまざまな業界でハロウィーンの関連商品を発売するようになり、今では市場規模は1000億円以上で、バレンタインをもしのぐともいわれています。

■「異教の習慣」禁止のサウジでも…世界各国のハロウィーン

 ハロウィーンには、それぞれの国で独特の風習があります。発祥の地、アイルランドではドライフルーツなどが中に入ったケーキ、「バームブラック」を食べる風習があります。

中にはドライフルーツだけではなく指輪や硬貨が入っていて、切り分けたときに何が入っているかで、運勢を占います。

指輪が入っていたら「1年以内に結婚できる」、硬貨が入っていたら「お金持ちになれる」、布切れの場合は「貧しくなる」といったように、日本の「おみくじ」のような扱いです。

アイルランド出身の人が経営するオンラインショップ「巨人ストア」では、現地の伝統を楽しんでもらおうと、ハロウィーンの前後に期間限定で、中に小さな指輪が入った「バームブラック」を、3200円(税込・送料別)で販売しています。

ハロウィーンの本場、アメリカでは、日本でもおなじみとなったトリック・オア・トリートなどさまざまなイベントが行われますが、「犬の仮装コンテスト」も行われています。

ニューヨークで毎年行われていて、2023年はすでに500匹以上が参加して行われましたが、入賞した6匹のうちの1匹は、ポケットモンスターのピカチュウに仮装していました。

イスラム教の国、サウジアラビアではハロウィーンは「異教の習慣」として禁止されていて、過去にはパーティーに集まった外国人女性が集団で拘束されたこともあります。

ただ2022年に、政府主催のイベントでゾンビやゴーストなどの仮装に限定されましたが、仮装した人々が街に繰り出してイベントが開かれたということです。

このイベントが開かれた理由について、日本エネルギー経済研究所中東研究センター長の保坂修司(ほさか・しゅうじ)さんは、「最近は文化・生活面での開放政策が進んでいて、国内の若者に娯楽を提供するのが狙い」と話します。

また、観光都市としてのアピールの狙いもあるということです。

■23年は各地で規制強化のハロウィーン

 日本でもまもなくハロウィーンを迎えますが、2023年は規制強化が進んでいます。

コスプレの聖地とされてきた渋谷は、「ハロウィーンは来ないで」と訴えています。酒を飲んでのトラブルやごみ問題などマナーの悪化が問題視されていました。

渋谷にも乗り入れている鉄道の京王線では、2022年に続いて「コスプレ乗車を控えて」と呼びかけています。

2021年の10月31日に、ジョーカーに仮装した男が乗客を切りつけて車両に火をつけるという事件があったことがきっかけです。

愛知県名古屋市でも栄の「オアシス21」が混雑をさけるため、規制されています。28日から3日間、「緑の大地」が午後6時から未明まで、屋上の「水の宇宙船」が午後6時から翌日の午前10時まで閉鎖されます。

31日は、地下の店舗は終日休業し、「銀河の広場」は午後5時以降は立ち入りができなくなります。

また、2022年は地上部分に人が集まったため、23年はバスターミナルへの経路を確保したうえで地上部分も閉鎖されます。

地下鉄や市バスは、仮装して乗車することはできますが、「上着を着るなど、周囲に配慮してほしい」としています。