1月31日に火事が起きた愛知県武豊町の火力発電所は、バイオマス発電という最新式の施設でした。しかしバイオマス発電所では、火災や発煙事故が全国で多く発生しています。なぜ出火したのか、そして事故を防ぐためにはどうすればいいか、専門家に聞きました。

 どのように出火したかについてです。敷地内の貯炭場に保管されているバイオマス燃料の「木質ペレット」と石炭が、それぞれコンベアで「バンカー」と呼ばれる一時貯蔵施設に運ばれます。

 そして、木質ペレットなどはミルで粉末にしてボイラーで燃やすという仕組みです。JERAによると、今回の火元はバンカーとみられていて、爆発があった時には木質ペレットが入っていたということです。

 木質ペレットは、細かくした木材を固めた「木質バイオマス燃料」というもので、木は成長の過程で二酸化炭素を吸収するため、燃やす際にCO2が出ても実質的な排出量はプラスマイナスゼロということで“環境に優しい”とされ、全国で導入が進んでいます。

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 拡大の一方で、木質バイオマス燃料を扱う発電所で火事が相次いでいます。

 今回事故があった武豊火力発電所では、2022年8月と9月、2023年1月と3度もボヤ騒ぎが起きています。JERAによると、いずれも木質ペレットの粉に着火したことが原因とみられるということです。

 全国のバイオマス発電所では2019年以降、火災や発煙事故が13件に上っています。

 なぜ事故が相次ぐのか、専門家に聞きました。エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表によりますと、木質ペレットが関係する爆発が起きる原因は2つあるといいます。

 一つが『ガス爆発』で、木質ペレットが発酵する過程で生じたガスに引火して爆発するというもの。もう一つが『粉じん爆発』で、ペレットの粉が空中に舞い、何かのきっかけで引火してしまうことも考えられるということです。

 その上で、どうすれば事故を防げるのかについては、「燃料が木材なので生もの。自然発酵などをしてしまうので、期限を区切って管理するなどの対策が必要」と指摘しています。