愛知県岡崎市の中根康浩市長が公約として掲げた全市民への5万円給付。9日の市議会で、関連の条例案の審議が行われました。

 しかし、審議前に中根市長が給付額の減額などに言及したため、議会側は「議会軽視」と反発。議会は紛糾し、本来は9日に採決される予定でしたが、会期が延長されて見送りとなりました。

 9日から審議が始まった、中根岡崎市長の看板公約「5万円給付」…。

簗瀬市議:
「岡崎市の長として、その責務の重要さをしっかり認識していただきたいと思います。議会を軽視をしているとしか考えられません」

中根岡崎市長:
「真摯に議論を展開していきたい」

 冒頭から市議会は紛糾。中根市長は市議会での審議の前に減額や所得制限を設ける案などに言及したため、市議会側は「議会軽視」と反発。その後も…。

野本市議:
「財政運営の余力がなくなったところに、新型コロナの第3波が発生した場合、本来コロナ対策のはずでありましたが、対策ができなくなってしまうというのは、まさしく本末転倒ではないかと」

中根岡崎市長:
「今の岡崎市のコロナの状況は、レベル3の警戒領域。給付金は、まさにこの第3波にも対応し得る施策であると思っております」

 条例案では、市の貯金にあたる財政調整基金80億円を全て取り崩した上、東岡崎駅前の整備基金など5つある基金も廃止。それらを給付に必要な190億円余りに充てるとしていますが…。

中根岡崎市長:
「財政調整基金は、元々はいざという時、緊急時のために積み立ててあるものであって、まさにこのコロナ危機というのは、その重大局面というふうに思っております」

中根武彦市議:
「市民に5万円を給付することは、コロナから地域経済を守る経済対策であると、色々な場面で言われておりますが」

中根岡崎市長:
「事情は様々であり、具体的な数字を申し上げることはできませんが、5万円の可処分所得を増やすことで、地域の消費を喚起できるものと考えております」

 市長と議会側との議論は、平行線が続きます。

 一方、「5万円給付」の審議を見守ろうと傍聴席には多くの市民が…。

傍聴した男性:
「嘘つきだもん!泥棒じゃん!5万円欲しいもんで(票を)入れたんやん。そりゃ公約守らな辞めてもらうしかない。公約違反!」

 5万円給付の関連条例案は、本来9日採決される予定でしたが、市議会は「来年度以降の財政への影響など、答弁が抽象的すぎる」として、会期を18日まで延長することを決めました。

 10日以降、改めて審議されますが、可決されるメドは立っていません。