新型コロナウイルスの影響で在宅中の高齢者を狙った特殊詐欺の被害が増加しています。被害女性が語ったその手口、そして未然に防ぐ方法とは…。

Aさん:
「しっかりしてるね、と言われることもあったので、まさか自分が被害に遭うなんて」

 愛知県に住む60代の女性、Aさんは今年6月、振り込め詐欺の標的となりました。きっかけは1人で在宅していたAさんが受けた区役所の健康保険課を名乗る男からの電話でした。

<区役所健康保険課を男>
「緑色の封筒に入れて送った還付金に関する通知書の返事が来ておらず、このままでは還付金を受けられない。ただしキャッシュカードが2枚あれば手続きができる」

 Aさんには確かに以前、区役所から緑色の封筒が届いていたことがありました。Aさんは男の話を信じ込み、言われるがままに銀行名と携帯電話の番号を伝えてしまいました。

 銀行員を名乗る男から携帯に着信があったのはそれからすぐのこと。

<銀行員を名乗る男>
「どこのATMが近いか。家を出てどれぐらいで到着するか。職員に声を掛けられても『大丈夫』だと伝えること」

 男は次から次へと言葉巧みに畳みかけました。

「ずっと喋っていたので考える余裕がなかった。自分が振り込む方とは思ってもみなかった」と振り返るAさん。何回かに分けて振り込まされた末、他の銀行のカードがないか問われ夫に相談したところ、「それは詐欺だろう」と指摘されようやく気付きました。

 働いてコツコツ貯めた140万円。Aさんは船旅に行くのを楽しみにしていましたが、気づいたときには手遅れでした。

 愛知県警によりますと、特殊詐欺の被害額は今年11月末までで12億3638万円と、前年同期比で3割以上増加しています。

 被害後も1日に何回も電話がかかってくることもあり、家にいることさえ怖いと感じるほどだったというAさん。

 そんな中、夫の知人の勧めで「自動通話録音警告機」を固定電話に取り付けました。会話が録音されることを相手に自動音声で通知するほか、登録されていない番号からの着信は注意喚起のアナウンスが流れたり着信音が鳴らないようにする機能もついています。設置後、不審な電話は無くなりました。

 Aさんは「電話が鳴るとつい出ちゃう癖があった。これを導入してすごく安心感がある」と話しています。

 愛知県警が実施したアンケートによれば、機械の設置によって91%の人が不審な電話が掛かってこなくなったということで、県警が利用を呼びかけています。