東海地方では愛知・岐阜に出されている緊急事態宣言の解除が検討されていますが、決して新型コロナウイルスの脅威がなくなるわけではありません。

 切り札となるのはワクチンですが、岐阜県にある医薬品製造工場では、国産ワクチンの生産に向けた準備が進められています。異例の設備投資、その現場です。

 台車に乗せられ運び込まれる大きな段ボール箱。その中身は、新型コロナウイルスのワクチンを保管するための超低温冷凍庫「ディープフリーザー」です。

 6日、岐阜市の長良医療センターに設置され、マイナス75度でファイザー社製のワクチンおよそ2万5000回分の保管が可能。そのファイザー社のワクチンは2月14日に日本に到着し、厚生労働省の承認を経て、17日以降にまず医療従事者への先行接種が始まる見通しです。

「切り札」となるワクチン。開発では海外の製薬会社がリードしていますが、国内に目を向けると…。

(リポート)
「岐阜県にあるこちらの工場では、国産ワクチンを大量生産するための整備が進められています」

 製薬大手の塩野義製薬から、ワクチンの生産を委託されたバイオ医薬品製造会社ユニジェン。岐阜県池田町の工場では、遠心分離機やろ過装置が延べおよそ5000平方メートルの専用スペースに並びます。

 ワクチンのもとになるタンパク質を作り出すための世界最大級の培養タンクも設置されました。

UNIGENの福岡マネジャー:
「塩野義製薬さんで開発が終わっていない中で、もう工場を作っているという、そのやり方自体が異例です」

 開発を急ぐ塩野義製薬は、去年4月以降、開発の成功を前提に投資を行い、生産準備をすすめてきました。

塩野義製薬の担当者:
「求められた時にすぐに提供できるような体制を、まずは整えておこうといったところから、リスクをとって進めているということになります」

 去年12月から臨床試験を開始。年末までに年間3000万人分のワクチンを生産できる体制を整える予定です。

担当者:
「今回の新型コロナウイルスが季節性のもの、例えばインフルエンザのように毎シーズン冬に流行するとか、というようなことになることも想定されると思います。来年度も再来年も海外から調達して、あとは技術供与を受けて継続的に(供給を)行っていけるのかといったようなところは、一つ課題としてあるかと思います」

 今のところ、海外に頼らざるを得ない日本のワクチン事情…。長期的な予防のためには、安定供給が期待できる国産ワクチンの一日も早い開発が待たれます。