ワクチンについて、興味深い調査結果が3月29日にアメリカで発表されました。

 CDC=疾病対策センターが発表したのは、去年12月から3カ月間、アメリカの6つの州で「ファイザー」と「モデルナ」のワクチンを接種した医療従事者ら3950人を対象にした調査の結果です。

 内容は、2回目の接種から2週間が経過した人の感染リスクが90%減少、さらに1回の接種でも2週間後に80%の減少が確認されたというもので、「マスクを外して生活できるようになるかもしれない」という調査結果です。

 感染症が専門の愛知県がんセンター病院の伊東医師に詳しく聞きました。

伊東医師:
「ワクチンを接種して防げるのは、感染そのものではなくて症状が出ることを防げるだけで、感染はしてしまうのではないかという懸念があったんですね。今回の研究では、ワクチンが感染リスク自体を低減させるということがわかったんですね。感染リスクが0.1倍、つまり10分の1になると言えます」

 ワクチンを接種することで、感染自体しにくくなるというこの調査結果。中でもその対象が医療従事者だったことは大きなポイントだと指摘します。

伊東医師:
「医療従事者は、一般人よりもウイルスに接触しやすいですけれども、それにもかかわらず今回の研究結果では高い予防効果を示したと言えます。希望を与える結果ではないかと思います。ワクチンが感染リスクを下げますよということを示すことができたので、今後、集団免疫は期待できるのではないかと考えています」

 集団免疫とは、人口の一定以上の割合が免疫を持つと、感染者が出てもほかの人への感染が減って流行しなくなることで、ワクチンによる予防効果でその実現も期待できるといいます。

伊東医師:
「麻疹や風疹は、だいたい8割9割(ワクチンを)打っていると集団免疫が期待できるので、今回のコロナ(の有効な割合)がどうかは不明ですが、打てば打つほど集団免疫が期待できる。できるだけ多くの人がワクチンを接種することで、集団免疫で感染を収束させるということは期待できるのではないか」