4月、名古屋市千種区の飲食店で起きた火事。すぐに火の手がまわり、1人が重体、11人が重軽傷を負いました。出火原因は新型コロナの感染症対策が招いたとみられています。

 激しく燃える建物…2階から炎と煙が吹き出します。消防車など40台が出動。あまりの火の激しさに、2階から飛び降りる人も…。

 4月11日、名古屋市千種区千種一丁目の居酒屋「鶏ちゃんの店加子母家」で起きた火事。木造2階建て店舗などは全焼したほか、当時店内にいた客と従業員のうち、1人が意識不明の重体、11人が重軽傷を負う大惨事となりました。

 警察と消防による実況見分の結果、火元は1階にある厨房のコンロとみられています。ここまで火の手が早かったワケ…そこには、感染症対策に潜む危険性があったのです。

(リポート)
「火が燃え広がったのは、コロナ対策に使うアルコール消毒液が原因とみられています」

 名古屋市消防局の実験映像では、アルコール消毒液をコンロの火に吹きかけると、一瞬にして火が燃え上がりました。消毒液に含まれるアルコール成分の影響です。

千種消防署の担当者:
「昨今のコロナ対策もございまして、飲食店をはじめとして、消毒用のアルコールを店に置いて対応していただいております。コロナ対策として非常にありがたいことだと思っておりますが、一方でこちらのものは非常に燃えやすい」

 消防などによりますと、火事があった店内には、感染症対策で厨房にビニールの飛沫防止シートを設置。その手前のテーブルには、消毒液も2つほど置かれていたといいます。

 そのため、コンロの火が飛沫防止シートに燃え移り、たちまち可燃性の高い消毒液に引火。火は一気に燃え広がったとみられています。

 コンロが火元の火事は、飲食店にとどまらず自宅でも増えていて、コロナが蔓延した去年から、自宅で料理をする人が増えたことも影響しているといいます。

 そこで名古屋市消防局は、4月から飲食店の見回りを開始。飛沫防止シートの近くで火を使わないよう注意を促したほか、消火器の設置場所や厨房の周りに燃えやすいものを置いていないかなど、くまなく確認します。

店長:
「これ(ガスボンベ)はマズい?どかした方がいい?」

消防の担当者:
「引火した時に危険になりますので…」

店長:
「たくさんここに(ガスボンベを)置いてあったものですから、使う分だけ置いておいてほしいという指摘をいただいたので、今後気を付けて。煮物とか煮たままどこかへ行ってしまったり、よくそれで火事になってしまうお店もありますので。明日は我が身なので…」

千種消防署の担当者:
「コロナ対策の方に目がいって、防火の対策になかなか目が行き届きづらいということもあります。改めて防火の対策もあわせて考えていただきたいと思っております」

 名古屋市消防局は、「火の周りにモノを置かず、目を離さない」などと注意を呼び掛けています。

※画像はYouTube「まるはっちゅ~ぶ」より
※動画の一部はYouTube「まるはっちゅ~ぶ」と視聴者撮影