「不倶戴天の敵」といっていい河村市長と大村知事。大村知事のリコール署名偽造事件で事務局長らが逮捕されたことを受けて19日、早速また火花を散らしていました。名古屋市政担当の解説です。

大村愛知県知事:
「河村氏が中心になって首謀して、これ(リコール)をやってきたということでありますから、その最後の成れの果てが偽造・捏造ということだと思います。ひたすら言い逃れをする、責任逃れをする、そして田中氏に全部責任をかぶせて逃げようとする、極めてみっともない話だと思います。全て事実を明らかにして、河村氏が責任を取るべきだ」

河村名古屋市長:
「責任取るのはあんたの方ですよ、こんな無茶苦茶言って。リコール運動は非常に大事な活動だと一方で言っといてですよ、それに参加したというか応援してきた、熱心に応援しましたよ僕は。それを何で首謀者になるんですか。自己矛盾も甚だしいじゃないですか。国語の勉強してこいっていうの、もっと」

 大村知事は断定こそ微妙に避けていますが、聞く人に河村市長と署名偽造事件がなるべく結びついていると受け取れるように発言しています。リコールで自分の首を獲りに来た河村市長にダメージを与えたいという狙いです。

 首謀者という言葉遣いには、悪事や陰謀を中心になって企てる人という意味合いがあるので、河村市長は反発しています。

 大村知事も河村市長も、事件の全容解明を望む発言をしていますが、期待するのは大村知事は河村市長やその周辺の関与があるのではいか、河村市長は自身や周辺の潔白の証明という真逆の内容です。

 河村市長が大村知事へのリコール署名活動に積極的に関わったことは事実ですが、これまでの取材では、市長は署名偽造については知らなかったのではないかというのが正直な心証です。

 選管に提出した署名簿が戻ってきたら、リコールの会としてはすぐに溶かして処分してしまおうとしていたのに、河村市長は異を唱えていました。もし偽造を知っていながら黙認したとすれば、発覚したらこれまで築いてきた評価を完全にふいにするどころか、政治家としての死に直結するようなことで、そんなことをするだろうかと疑問に思います。

 今の状況が名古屋市政に与える影響については、自民党名古屋市議団の藤田和秀団長は、今後の河村市長との向き合いについて「徹頭徹尾やる、手を緩めることも妥協することもない」と話しています。

 4月の市長選でも、河村さんは勝利したものの批判票が相手候補にかなり流れました。自民党はじめ、議会は市長との対決姿勢を強めています。18日も市長の特別秘書について働きぶりを批判し、人を変えるか給与を下げるよう申し入れました。

 4期目をスタートしたばかりの河村市長ですが孤立感は強まっており、市政運営はいばらの道といえそうです。