愛知県は先週、酒の提供中止や時短営業の要請に従わない一部の店に対し、法に基づく休業命令を出しました。時短や酒類提供をやめるよう求められている中でも営業を続けている飲食店もありますが、店側にも言い分はあります。

 6月11日金曜日、多くの飲食店が立ち並ぶ名古屋の「今池地区」。

 午後8時を回っても居酒屋には明かりが灯り、賑やかな声が漏れ聞こえる店舗も。しかし、この前日には…。

大村愛知県知事:
「12市1町30施設の管理者に対しては、6月20日まで引き続き休業に応じるよう要請を継続していきますが、それでも応じていただけない場合には、措置期間満了後に過料に処すべきものとして地方裁判所に通知をする」

 休業や営業時間の短縮の要請に従わない一部の飲食店に対し、新型コロナ対策の特措法に基づき、命令を出した愛知県。緊急事態宣言の期限となっている6月20日までに命令に従わない場合、行政罰として30万円の過料を科すと発表しました。

 このような状況でも、お店を開け続ける理由は…。

飲食店オーナー:
「ひどいなと思いますね。そこまでできるんですかって感じです。今のところは、うちの店は(命令は)ない状況です」

 抗議の意味を込めて営業を続けるのは、名古屋市内で飲食店5店舗を経営するオーナーです。3回目の緊急事態宣言が出るまでは、いずれの店舗でも県の要請に協力してきました。店を維持するだけなら、協力金でも何とかなる。ただ…

飲食店オーナー:
「うちですと東海地区の酒蔵さんと非常に仲良くさせていただいていて、そういう方たちの悲鳴。酒屋さんも売り上げが1割とかになってしまっている。私たちも信頼関係があるし、そんな中でうちだけ閉めますってなかなか厳しい選択ですよね」

 取引先を倒産させないため、そしてアルバイト従業員の生活を守るために、5店舗のうち3店舗を開ける決断をしました。しかし、「罰則覚悟」での営業なのかと問うと…。

Q.店に行政が来たときの対応は?

飲食店オーナー:
「もう分からないですね。どうしようっていう感じです」

 歯切れが悪くなった理由は、飲食店仲間の間で広がる根拠の無い噂でした。

飲食店オーナー:
「今度発売されるプレミアム商品券の対象店舗になれないとか。コロナ後も協力しているかしていないかで何か不利益をこうむるような行政からの締め付けがあるような感じであれば、本当に考えなきゃいけないなと」

 根も葉もない噂話を恐れる現状…。

飲食店オーナー:
「何度も繰り返すような緊急事態宣言というのは、それが本当に効果があるものとは言えないんじゃないのと。痛み分けだと思うんですよ。例えばテレワークができない会社は罰金を払うなら払えばいいし、一部の業種だけが過度に…」

 拭いきれない不公平感。要請を無視して深夜まで営業を続ける店が後を絶ちません。