コロナ禍の状況を悪用し「税金などの払い戻しがある」という詐欺が相次いでいます。そのターゲットには60代や50代の現役世代の人たちもいます。一体なぜなのでしょうか。

 8月3日の昼過ぎ、岐阜県岐南町に住む57歳の男性にかかってきた1本の電話…。それは「コロナ禍」を悪用した詐欺の電話でした。

<町役場の職員を名乗る男>
「消費税の還付金があります。コロナ禍で法律が変わり、ATMで返金の手続きをします」

「コロナ禍で法律が変わった」と巧みな嘘をつく詐欺グループの言葉を、男性は疑いつつも…。

被害に遭いかけた男性:
「私もまだ、そんな還付する方法があるというのは半信半疑でしたけれども、コロナ禍なので仕方ないのかなと」

 さらに、男の口調からも信じてしまいます。

被害に遭いかけた男性:
「なまりとかは感じなかったですし、淡々と名前を名乗って『保険年金課』という形で、いわゆる公務員的な淡々という印象でした」

 その後、男性のもとに、今度は金融機関の職員を名乗る男から電話があり、消費税の還付金を受けるためショッピングセンターのATMを利用するよう指示されます。

 しかし、幸いなことに男性は暗証番号を思い出すことができず、銀行の窓口を訪れたところ、職員から「それは詐欺」と指摘され、被害に遭わずに済みました。

被害に遭いかけた男性:
「『これは詐欺ですから警察に電話しましょう』と言われた時に、やっぱりそうかというところと一緒に、恥ずかしいというか。私のような50代でもターゲットにされたんだなと」

 こうした「還付金詐欺」。岐阜県内ではここ数年減少傾向でしたが、今年は7月までで被害は30件と急増。そして、このうち28件が60代の人たちが被害に遭っていたのです。

 一体なぜ、被害が増えているのか…。

岐阜県警・生活安全総務課の担当者:
「金融機関さんにお願いしておりました振込制限等でだいぶ被害を防止できたんですけども、その制限をかいくぐって対象外の方に犯人がターゲットを移していった」

 多くの金融機関では現在、70歳以上を対象に1年以上キャッシュカードを利用していないと、ATMで高額な取引ができないようになっています。

 そのため、詐欺グループがターゲットの年齢層を引き下げていると指摘します。

岐阜県警・生活安全総務課の担当者:
「最近は60代の方を中心に犯人側が的を絞って電話をしてきている。60代の方にはさらなる注意をしていただきたいと思っています」