元・第72代横綱 稀勢の里の荒磯親方が東海ラジオの『荒磯親方 横綱人生道』で、白鵬の「立ち合い」に触れ、大相撲界の「ダルビッシュだと思っている」と絶賛した。

 番組で「立ち合いがうまいと思った力士は?」と聞かれた荒磯親方は、引退を発表した白鵬の名前を挙げ、「白鵬は(大相撲界の)ダルビッシュだと思っている」と話した。

 立ち合いが多彩な白鵬を、「ダルビッシュは変化球を8種類ぐらい持っている。白鵬の立ち合いも同じぐらいある」と例えた荒磯親方。「右で張って左を差す。左で張って右を差す。右で張って右を差す。左前まわしを取る。頭から入る。手を出してくる。かちあげ…」と次から次へとその種類の豊富さを挙げた。

 荒磯親方は星数やインタビューの内容から相手が「次の場所はこういう立ち合いで来るなというのがだいたい予想できた」という。しかし、それができなかったのが白鵬だった。「白鵬の場合は全く読めなかった。この一番でこう来るかという立ち合いが多くて、ものすごいものがあった」と当時を振り返った。

 相手を研究するために取組後のインタビューも積極的に取り入れていたという荒磯親方。取組が終わって花道を引き揚げる力士にアナウンサーが話しかけたとき、「力士の本音」が出るという。そのため自分自身は「敢えてあまり答えないようにしていた」と明かした。また、新聞に載る力士のコメントもチェックしていたそうだ。

 このあと、見どころのある立ち合いをする現役力士について、「若隆景」の名前を挙げ「体は小さいが体幹がしっかりしているので大きな力士と当たっても体が浮いたりしない。自分の型をしっかり保っている。おっつけもはまっている。まるで昭和の力士を見ているような感じがする」と評価した。

 九州場所では、若隆景の相撲・立ち合いに注目したい。