
愛知県豊田市の明治用水で発生している大規模な漏水問題は、6月17日で1か月が経ちました。今も取水施設では復旧のための工事が続いています。水が必要な時期に起きたまさかの出来事、大きな影響を受けてきた農家の思いを取材しました。
17日の明治用水頭首工…。現在も漏水の原因となった穴を調べるための工事が進められていました。今も工業用・農業用共に水の使用は制限されていて、東海農政局は、平年並みに給水ができるようになるのは早くても7月末だとしています。
漏水問題から1か月。大きな影響を受けてきたのが用水の水が必要な農家です。
農家の男性:
「この田んぼが(漏水)事故があった後すぐの撮影に来てもらった田んぼで。現状はこうやって水がなんとか張れています」
豊田市のコメ農家・牧和範さん(43)。5月中旬、漏水が起きた直後の牧さんの田んぼです。
一番水が必要な時期に起きた漏水による水不足。一時は米を作ることを諦めかけたこともありました。
農家の男性(漏水直後):
「稲を諦めて、次の策練るか…」
そして17日…。今でも自由に水は使えませんが、4日に1回の給水に加え、近くを流れる別の用水から水を引っ張るなどの工夫をして、ここまで稲は育ちました。
しかし、今後を思うと心配ばかりが募ります。
農家の男性:
「収穫まではひたすら水が要る。収穫が終わってからも、実は次期作の準備とかで、秋とか冬場に田んぼに水を張って整地をするという仕事がある」
望んでいるのは、一日でも早い完全復旧です。
農家の男性:
「『本格的に復旧しましたよ』と言ってくれれば、ウチらは本当に安心するんだけど」
そして、新たな事実もわかってきました。
復旧対策検討委員会の委員長:
「左岸側『魚道(ぎょどう)』下部に一部空洞が確認された」
調査の結果、漏水の原因とされる穴のすぐ横にある魚のための通り道、コンクリート製の「魚道」の下に空洞が見つかりました。
空洞の大きさは幅およそ3m、高さ2mほど。水がこの空洞を通り、上流から下流へと漏れ出していた可能性があるとみて調査しています。
しかし漏水の本当の原因は何なのか、1か月が経っても全体を把握できていないのが現状です。