名古屋市中区栄の広場、通称「ドン横」は27日、開発にむけて閉鎖されました。居場所を求めて若者たちが集まっていた場所がなくなった今、彼らはどこへ。そして何を思っているのでしょうか。

 27日午後7時過ぎ、日没を迎えたころ…。

(リポート)
「ドン横と呼ばれた栄広場はバリケードが設置されてしまっていて、全く中に入ることができない状態です」

 名古屋市中区・栄にある栄広場、通称「ドン横」。

 高さ3m以上の柵も設置され、中に入ることはできなくなり、そこに若者の姿はありません。

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 目の前に「ドン・キホーテ」があることから通称「ドン横」と呼ばれたこの広場。ここに集まる家庭などに居場所がない主に10代の若者は「ドン横キッズ」と呼ばれ、夜中まで時間をともにして過ごしていました。

 居場所がなくなった彼らはどこへいるのでしょうか。取材を進めると、ドン横から800mほどの場所にある中区栄の「池田公園」にいることがわかりました。

ホストの男性:
「この辺におるイメージ、僕の中では。ここ。あそこ行った方が良くない?オアシスの方。オアシスの下にもよくおるって聞くけど」

 情報を頼りに向かった、栄の「オアシス21」。ドン横からすぐ近くです。

 午後9時ごろ、オアシス21を訪れましたが、なかなか出会うことはできません。しかし終電の時間を迎え、午前0時を過ぎるころ、オアシス21の横で路上ライブを聞きながら時間を過ごす、10代と20代の若者たちの姿がありました。

Q.きょうは人が少ないのか?
フリーターの女性(16):
「いや、結構いる。今みんなバラバラになっているだけで。オアシスいたい人はオアシスだし、池公(池田公園)行きたい人は池公、ゲーセン行きたかったらゲーセンだし、カラオケだったらカラオケ」

フリーターの男性(20):
「別に集まりたい場所で集まればいいんじゃないか。メインで集まっている場所がなくなっちゃっただけだから」

「メインの場所がなくなっただけ」…それぞれの居場所へ散って、夜を楽しんでいました。

 彼らは、同じ悩みを持っていました。薬を袋から出すと…。

Q.これだけ一度に飲むのか?
フリーターの男性(20):
「僕はいつもこれでやってる。と、これ。もっと『飛びたい』時はこれで。」

フリーターの女性(16):
「こういう瓶タイプだったら、中から30錠出したりとか。初めてやる人は15錠とかでダウンしちゃうし。『アッパー』とか『ダウナー』っていって、気分が上がるのと下がるのとかがある」

 OD=オーバードーズ、一時的に意識が朦朧となり精神的な苦痛から逃れられるなどとして、市販の薬を大量に摂取するとても危険な行為です。

 ドン横に通い同じ悩みを持つ友達と出会えましたが、薬は手放せないといいます。

Q.なぜ薬を飲んでいるのか?
フリーターの女性(16):
「楽しくなりたいし、つらくなくなる」

フリーターの男性(20):
「僕はちょっと色々あるので、家庭環境とか。『死にたくなるのを止める薬』みたいな」

 21歳の女性。家庭に居場所がなく、東京でホストクラブ通いを続けた過去があります。

Q.何に悩んでいたのか?
ホスト通いしていた女性(21):
「1人で病んでホスト行きまくって。ホストに『カケ』(借金)作らされて、それで働かんといけんやん。風俗とかそっち系に落ちていって。体が限界でうつ病とかそういうのもずっと持っとるから。それでずっと引きずっていて」

 オーバードーズの末に体中にリストカット…。

ホストクラブ通いしていた女性(21):
「切らないためにタトゥー入れとるんよ。だから多分どんどん増えてくと思う」

 東京を去り、たどり着いた「ドン横」。

ホストクラブ通いしていた女性(21):
「心の精神疾患だったりとか、家で問題あったりとか、虐待とか、(受ける子が)みんな集まって話し合って仲良くなるとか。居場所は必要やと思う。だから栄の広場なくなったの、めっちゃ悲しい」