17日、名古屋市中区栄の街路樹が倒れ、信号待ちの車を直撃しました。これを受けて市は18日、市内の街路樹の緊急点検を行いました。根元が腐っていたとみられていますが、なぜ街中の危険を見つけることはできなかったのでしょうか。

 乗用車のボンネットを直撃した倒木…。3車線ある道路を塞ぐ形で横たわっています。

 17日、名古屋・栄の大津通で街路樹が倒れて信号待ちの車を直撃。幸いけが人はなかったものの、乗用車のフロント部分は大破しました。

 倒れた木はおよそ35年前に植えられ、高さは17メートルほどで、根元の部分の直径はおよそ45センチもありました。

 倒れる方向が違えば人に当たる可能性もあった街路樹の倒木…。この事態を受けて、街路樹を管理する市の緑政土木局は18日、市内におよそ3700本あるケヤキの街路樹を緊急点検を始めました。

(リポート)
「名古屋市の職員が木の根本にピンを刺しこみ、街路樹の状態を確認しています」

 細長い棒で根元を刺したり、木槌で幹を叩いたりして、倒木の危険がないか一本一本調べていきます。そもそも今回の倒木はなぜ起きたのでしょうか。

 樹木の状態を診断し治療などを行う、樹木医の石黒秀明さんに聞きました。

樹木医の石黒さん:
「おそらく、べっこうたけ病だと思います。べっこうたけ病というのは、感染すると主に樹木の地際部、根っこの元のところですね、地際部を腐らせる病気になります」

(リポート)
「大津通沿い、きのう根本から折れた木の跡がこちらです。外側の部分は比較的硬いんですけれども、色が黒くなっている部分を触ってみると少し柔らかくなっていまして、腐っているようにも感じます」

 17日の雨で葉の上に水がたまるなどして木全体が重くなり、倒れやすくなっていたのではないかと専門家は指摘。さらに…。

石黒さん:
「(街路樹は)植栽桝という道路の脇に植物を植えるスペースを作って植えたものになります。この植栽桝は地面の中にありますけども、実際は地上にあるプランターに植栽されたものとあまり変わらない状態だと認識してください。狭いということは、このケヤキが健全な成長ができない」

 街路樹は、根元の周りを石畳やコンクリートなどで覆われていますが、公園に植えられたものは、周りの地面の広い範囲が土で覆われ、比較すると街路樹は成長の妨げとなる障害が多いことがわかります。

石黒さん:
「根っこが腐る病気を目視で確認することは、実は非常に難しいんです。手間等はかかりますけども診断等をちゃんと行えば、事前に今回の事故は防げたかもしれません」

 かつて緑が少なく「白い街」といわれた名古屋。高度成長期に積極的に緑化を進め、現在は政令指定都市の中で面積当たりの街路樹の数が、札幌、横浜に次いで多い街となっています。

 市は緊急点検を行っていますが、道路や歩道の安全を確保するため、老木や大きくなりすぎた木の撤去を進めるなど、2021年から始めた「街路樹再生プラン」を推進していくことにしています。