新型コロナの感染者数は少し落ち着いた印象がありますが、これから秋から冬にかけては、インフルエンザとの同時流行が懸念されています。ここ2年はほとんど感染者がいなかったインフルエンザがなぜ増えるのか、その理由を取材しました。

 三重県津市の「岩尾こどもクリニック」。連日コロナ患者の対応に追われていますが、2022年の秋から冬にかけて、インフルエンザとの同時流行を警戒していました。

岩尾院長:
「人の動きとともにですね、インフルエンザが流行する可能性はもちろんありますね」

 8月、厚生労働省が発表した今シーズンのインフルエンザワクチンの供給量はおよそ7000万人分。これまでで最も多い供給を見込んでいます。その理由の一つに、遠く離れたオーストラリアでのインフルエンザの大流行がありました。

岩尾院長:
「オーストラリアの感染状況が、その年の冬の日本の状況とよく似ているっていうので必ず調査されているんですけど、(今年は)確かにオーストラリアは多いみたいで」

 季節が日本と反転する南半球のオーストラリア。その感染状況が、日本での流行を予測する1つの指標になっています。オーストラリア在住の医師は…。

オーストラリア在住の高尾医師:
「(インフルエンザの症状で)受診する患者さんも多かった印象ですね。ただでさえコロナもありましたし、本当にダブルでかなり大変な状況でした」

 オーストラリアの今シーズンのインフルエンザ患者数は、2020年と2021年は少なかったものの、2022年は5月から感染が急拡大。コロナで感染症対策が徹底された時期にインフルエンザへの感染者が減ったため、免疫が低下していることが要因とみられています。

「同時流行」が日本でも起こるとどうなるのでしょうか。

岩尾院長:
「ウイルス抗体を持っていない状態で感染するので、どれだけ重症化するかがそれこそちょっと読めないなと。(コロナに)感染している方の症状が、ちょっとインフルエンザっぽいんですよね。同じような症状になると区別がつかないんで、2つ検査せざるをえない」

 政府は、新型コロナとインフルエンザワクチンの「同時接種」を推奨する方針ですが、医療現場の負担が大幅に増える可能性があります。

岩尾院長:
「インフルエンザのワクチン、インフルエンザの診療、コロナの診療、これどうやってやろうかなって。今の感染対策の状況のまま冬に突撃するとちょっと大変だなと」