ノーベル賞の発表が3日から始まっています。5日は化学賞の発表です。東海地方の受賞に期待がかかる方についてまとめました。

 中部大学・山本尚(やまもと・ひさし)教授は兵庫県出身の79歳で、名門・灘中学・高校に進学後、1967年に京都大学工学部を卒業。名古屋大学工学部の助教授などを経て、現在は春日井市の中部大学で教鞭をとっています。

 物質同士の反応を活発にする触媒の一種「ルイス酸触媒」を長く研究。役に立つ化合物を効率的に合成する触媒を数多く開発し2016年、有機化学の分野で世界一権威があるとされる「ロジャー・アダムス賞」を受賞しています。

山本教授:
「それまでに存在している技術を全部否定して、新しいものを提供する。私がいまやっている研究で、これはある意味で言うと医薬品関係の仕事なんですが、それで一つの革命を起こしたいと思っています」

 従来の考え方にとらわれない自由な発想。近年は医薬品などの材料として注目されるアミノ酸化合物「ペプチド」を安くつくれる触媒の開発に成功。副作用を抑えた次世代の薬の実現が期待されています。

山本教授:
「大事なのは感覚とセンスです。世界中で持っているのは日本人だけだと言ってもいいぐらいなんです。一つの創薬がモノになるまでに、短くて10年という風に言われています。どうしても日本が世界一になってほしいんです」

 中部大学にはノーベル化学賞候補がほかにもいます。京都大学工学部で長く教鞭をとり、現在は中部大学の教授などを務める澤本光男(さわもと・みつお)さん(70)です。

 様々な工業製品に使われるポリマーを、思い通りに作り出す合成手法「リビングラジカル重合」を開発し、新材料の開発に活用されています。

 このほか「カーボンナノチューブ」を発見した名城大学の飯島澄男(いいじま・すみお)終身教授(80)、「最強の磁石」を開発した大同特殊鋼の佐川眞人(さがわ・まさと)顧問(79)は、物理学賞に続き化学賞でも候補に挙げられています。