緊急承認のゾコーバに医師「特効薬とまでは言えない」新型コロナ“5類引き下げ”でメリットやデメリットは
新型コロナの位置づけを、季節性のインフルエンザと同じ分類に見直そうという動きがあります。見直しによるメリット・デメリットや、医師の見解について取材しました。
第8波の到来は、医療機関にも如実に影響を及ぼしています。
愛知県大口町にあるさくら総合病院の小林豊院長。
さくら総合病院の小林院長:
「完全に定員オーバーの状態で今運営しています。第7波に比べると、新規感染者数の立ち上がりは緩やかだった印象がありますけれども、病院の空床が埋まる勢いは第7波よりむしろ早かった印象があります」
20床確保していたコロナ病床は現在、高齢の患者を中心に満床の状態だといいます。
さくら総合病院の小林院長:
「近隣の地域の他のコロナ受け入れ病院も、ほぼ満床に近い状態になってきています。この先、第8波の波の大きさによっては病床が完全に回らなくなる、この地域の病院の病床が回らなくなることが懸念されます」
11月に入り、週を追うごとに全国的に増加している新規感染者数。その最中、先週、医療現場の「新たな武器」として緊急承認されたのが、初の国産治療薬「ゾコーバ」です。
これまでの治療薬と比べ、12歳以上からと対象年齢が低く軽症患者にも使える飲み薬で、発熱やのどの痛みなど5つの症状が7日程度で改善するとされています。
28日から医療現場への本格的な供給が始まっていますが、小林院長は…。
さくら総合病院の小林院長:
「36種類併用できない薬剤があって。生活習慣病と呼ばれる疾病に対する、日常皆さんが飲まれている薬剤で併用できないもの。特効薬と言えるところまでは来ていないような気がしますね」
薬同士の飲み合わせなど取り扱いには注意点も多く、導入の検討は副作用などのデータも取った上で、早くても年明け以降にするといいます。
加藤厚労大臣は29日、現在感染症法で「2類相当」としているコロナの分類について、見直しの検討を進める考えを表明しました。
季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げられれば、入院勧告などの制限はなくなりますが、現在公費で賄われている医療費やワクチン接種の費用は自己負担が生じます。
この5類引き下げの議論について、街の人は…。
女性(引き下げに賛成):
「5類でいいと思っています。(公費負担が)全体の人に医療が行き渡るところではいいと思うんですけど、必要な人が必要だと思ったときに(検査を)受けるぐらいでいいんじゃないかなと思います」
別の女性(引き下げに賛成):
「風邪みたいな、インフルエンザみたいな扱いでいいと思うんですけど。海外では普通に生活していますしね、マスクもしてないし」
女性(引き下げに慎重):
「まだ時期が早いと思います。タミフルみたいな感じで、コロナに対しても良い薬がでると、もうちょっといいと思いますけど」
男性(引き下げに慎重):
「(医療費が)実費になると(検査を)控えようかなという気持ちにもなってしまうのかなと。安易に下げないほうがいいのかなと個人的には思います」
医師の立場ではどのように考えているのでしょうか。
さくら総合病院の小林院長:
「(コロナは)特効薬がない病気、インフルエンザとは違って治療の武器がまだ足りない。2類から5類に下げたからといって、病院としての感染症の扱いはまた特別に考えていく必要があると思います」
※画像は塩野義製薬提供