今年は3年ぶりに行動制限のない年末年始となりましたが、医療現場を取材すると、新型コロナの感染拡大でひっ迫した状況が見えてきました。

 三重県津市にある三重病院では、幼い子供が母親に抱かれながら新型コロナの検査を受けるなど、5日も朝から発熱などの症状で外来に訪れた小児患者の対応に追われていました。

小児科医学博士・菅田医師:
「これまでは発熱の患者さんが1日1桁の時もあったんですけども、冬休みに入ってからは30人近くの発熱を主訴とする患者さんが当院に受診される。(30人のうち)半数近くはコロナの患者さん」

 三重県では12月28日、新型コロナの新規感染者数が4956人と、およそ4カ月ぶりに1日の最多人数を更新しています。

 追い討ちをかけるのが、インフルエンザなどこの季節に流行する他の感染症です。新型コロナの患者と感染し合わないようにする必要などがあり、この病院では、年末には一時、病床使用率が9割に迫ったといいます。

小児科医学博士・菅田医師:
「(コロナ以外の)他の感染症をみる部屋がなくなっていくような状況が12月、特に年末年始に起こりまして。この割合をコロナ、この割合を他の感染症に使うという、病床の使い方を非常に毎日苦労しておりました」

 愛知県では、年末に新型コロナ用の病床使用率が70%を超えました。大口町にあるさくら総合病院で話を聞きました。

さくら総合病院の小林院長:
「年末年始ならではの特徴とか、年末年始だからこんなことがっていうのは、あまり変化はなかったですね」

 3年ぶりだった「行動制限のない年末年始」の期間中は、発熱した患者が押し寄せるなどの事態にはならなかったものの、その影響はこれからだと指摘します。

小林院長:
「『行動制限がないぞ、わーっ』と盛り上がる年代はあまり重症化しませんので。ただ、帰省とかで超高齢者に若い人が会ってうつしてしまう案件が多いとするならば、それは医療をさらにひっ迫させる原因になり得る。年末年始で感染が及んでいるとするなら、感染してから入院するまで1~2週間のタイムラグがあるので」

 コロナの患者は少なかったものの、年末年始の期間は救急搬送の対応に追われたといいます。

小林院長:
「年末から救急車もそうですけど受診者数が本当に多くて、医療スタッフが限界超えて頑張っている状況が続いています。例年の年末年始に比べると、救急車の台数が1.5倍ぐらいに増えていると思います。とても多いです。長久手の方とか、遠くは碧南とか、知多半島から搬送されてきた例もあります。救急車でも1時間近くかかる所が多いんじゃないですかね」

 理由については、コロナに加えて冬は循環器系の疾患が増えるため、どこの病院も満床になっているのではないか、としています。

 さくら総合病院も5日朝の時点で30床のうち29床が使われるなど、ほぼ満床の状態が続いています。

 愛知県の発表では、新型コロナ用の病床使用率は7割台で推移していますが、実情は更に厳しいといいます。

小林院長:
「あれはもう全然実情を反映していなくて、実情は90%台後半で推移しています。(Q.100%に近づきつつある?)間違いない、崩壊前夜ですよ。この波がこれ以上続いたり、波が収まる前に第9波がきたりしようものなら、あっという間に崩壊してもおかしくない状況に陥っていると、間違いなく言えますね」

※画像は三重病院撮影