新型コロナの感染が広がったこの3年で暮らしに定着したのが、アクリル板のパーティションです。政府は2023年5月に法律上の扱いを季節インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決めましたが、コロナ禍によって定着した新習慣はどうなるのか、飲食店を取材しました。

鳥勢の女将:
「1月の後半は皆さまご来店が多いんですけど、でもそこまで全快までには戻ってはいないです」

 名古屋市中区錦三丁目の老舗焼き鳥店「鳥勢」では、客の入りはコロナ禍前と比べるとまだまだですが、少しずつ戻ってきたといいます。

 政府が決めた新型コロナの5類への引き下げについて聞きました。

鳥勢の女将:
「飲食店としては、5月8日以降も継続してマスクは着ける予定です。3年間この生活に慣れてしまったので、うれしいけど怖いです」

 店内には、コロナ禍に入ってから設置したパーティションもあります。こちらも今では当たり前の光景になりました。

【動画で見る】パーティションが“救世主”だった会社は複雑…新型コロナ5類引き下げへ 3年間で定着した「新習慣」今後は

鳥勢の女将:
「お客さまにお声掛けして、パーティションを外していいかとか。まだあったほうが安心だっていう方もいらっしゃるので」

70代男性:
「こういうもの(パーティション)はうっとうしいですね、会話が遠くなるから」

50代の男性会社員:
「5類なのか2類なのかというよりも、名古屋でどれくらい感染者数が収まっているかで(行動を決める)」

 5類への引き下げ後、パーティションなど店内の感染対策をどうすべきか、具体的な指針はまだ決まっていませんが、コロナ禍の中で多くの人が新しい生活様式に慣れる中、店側も「すぐには元の生活に戻せない」と困惑しています。

鳥勢の女将:
「ずっと普通の営業がしたいと願っていましたけども、3年間この生活をずっとしていて、逆にこの生活に慣れてしまっているので、『今からマスク外していいよ』『パーティション外していいよ』、どうしよう?って」

 5類引き下げの決定でウィズコロナに向けて社会が動き出す一方で、複雑な思いを抱える企業があります。

協同プラスチックの富田社長:
「材料を切って組み立てたり、看板の文字を作ったりとか」

 名古屋市瑞穂区にある「協同プラスチック」。主に店の看板製作やプラスチック板の加工などをしていましたが、コロナ禍で初めて製造したのがアクリル板を使ったパーティションでした。

協同プラスチックの富田社長:
「コロナがはやり始めた時に、お客さまの方からご要望がありまして。パーティションが今までアクリル加工の年間1.4倍くらい受注高をいただけるほどの」

 コロナ禍に入り、イベントの中止や飲食店の閉店などが相次ぎ、売り上げも半分近くまで落ち込む中、会社にとって「救世主」になったパーティションでした。

 ただ、コロナ禍も3年経ち、設置も進んだうえ、5類引き下げが決まる中、需要は減る一方だといいます。

協同プラスチックの富田社長:
「(多い時の)50分の1、100分の1ぐらい。今は本当に週に1台作るかどうかまで数が少なくなりました。正直言うと痛手ではあります」

 しかし、5類への引き下げなどコロナ禍の規制が緩和される中、この3年で失った仕事が復活することを期待しています。

協同プラスチックの富田社長:
「お店としてあるべき姿に戻っていくということで、少しずつお店が賑わっていくのであれば、本当にうれしいことだと思っています」