2月3日、愛知県稲沢市で開かれた「国府宮はだか祭」は、3年ぶりにもみ合いが復活しました。この祭りの際、通称“野戦病院”とも言われる、毎年はだか男たちの命を守る病院があります。今年の様子を取材しました。

(リポート)
「午後4時54分、わずか20分ほどで今、儺追殿に入りました!」

 2月3日に開催された「はだか祭」に、はだか男たちが神男に向かって入り乱れるもみ合いが復活しました。

 国府宮神社近くにある、稲沢市民病院。

山口院長:
「地元の病院ということで、全面的に協力するというのは当然のことだと、スタッフもみんなそのような心構えでいます」

 午前の診療が終わると、一般外来の待合フロアでは椅子を移動させ、毛布やマットを敷いていました。

【動画で見る】過去にはケガによる死者も…もみ合いが復活した「はだか祭」裸男たちの命を守る“通称・野戦病院”に密着

 5年前のはだか祭当日の院内を撮影した映像には、治療を受けるはだか男たちが何人も映っていました。

多い年には30人ほどがもみ合いによるケガなどで搬送され、「野戦病院」とも言われています。過去には、ケガで亡くなったはだか男もいました。

 午後1時半すぎ、もみ合いはまだ始まっていませんが、電話が鳴ります。

職員:
「もしもし、稲沢市民病院でございます。はだか男酩酊、到着10分。酩酊の方が一人来ます」

 救急隊から、はだか男が泥酔して転倒したと連絡が入りました。

医師:
「動く?足。身体大丈夫ね?今日は何月何日ですか?」

はだか男:
「2月の3日。早く帰らせてよ」

医師:
「早く帰りたいですけど、もうちょっと調子が良くなってからにしましょう」

 会話こそできますが、かなり酔っている様子。参加条件には「禁酒」が含まれていましたが、出発前に酒を飲んだそうです。点滴をして回復を待ちます。

付き添いの男性:
「すみません、お世話かけました」

 もみ合い復活にテンションが上がり、肝心のもみ合いそのものには出られなかったそうです。

 その直後、再び救急隊から連絡が入りました。

職員:
「怪我ですね、転ばれた方です。はだか祭り関連」

 参拝に来た高齢男性が転倒し、顔から出血しました。傷の手当てのため救急室へ運び込まれましたが、軽傷でその日のうちに帰ることができました。

午後4時半ごろ、もみあいがスタートすると、いつでも対応できるよう病院にも緊張が走ります。

山口院長:
「(例年より負傷者が)少ないよね」

職員:
「少ないです」

 今年の参加者は、例年の4分の1程度のおよそ1700人と少なめで、神男は例年の半分程度の20分ほどでゴール地点の儺追殿に到着しました。

 結局、はだか祭の搬送は泥酔と軽傷の2人で、もみ合いによる大きなケガをした人はいませんでした。

山口院長:
「軽傷2名ということで、大きなことなく本当にホッとしております。(来年も)病院としては全面協力はしていかないといけないと思っております」