岐阜県大垣市の4人家族が2023年2月、道に迷った高齢男性を発見し、保護したとして岐阜県警が3月9日、感謝状を贈りました。父親は東山動植物園で「夜行生物」を担当する飼育員で暗闇で探すことに慣れていたといいます。

 岐阜県警大垣警察署で3月9日、田代成樹署長から感謝状を受け取ったのは、大垣市の外部一也さん、妻の典子さん、長男で高校2年の鷹一さん、次男で小学5年の鳳也くんの4人家族です。

 4人は2月26日、大垣市で道に迷った70代後半の男性を家族で協力して探し、警察よりも先に発見して保護しました。

 家族がこの男性と最初に会ったのは午後7時すぎ。精米のために車で出かけて帰ろうとしていたところ、自転車の高齢男性に道を尋ねられました。

 男性は「神戸町に行く道を教えてほしい」「21号線に行きたい」などとと尋ねますが、何度も同じことを繰り返すなど、様子が普通ではなかったといいます。

 典子さんが警察への連絡を提案し、一也さんが通報しましたが、男性は自転車で、なぜか教えた道とは反対の方向へ走り去りました。

 一也さんと鷹一さんは走って男性を追いかけましたが見失い、通報を受けた警察が男性の捜索を引き継ぎましたが、一也さんたちは「もし男性になにかあったら…」と考え、車で周囲の捜索を続けました。

 探すことおよそ30分、街灯一つない真っ暗な道をハイビームで照らしながら走っていると遠くのほうに、「動く影」を見つけた一也さん。近づくと、やはり探していた男性でした。

 一也さんは車から降り「道間違えとるよ」と声をかけて110番通報し、警察が到着するまで鷹一さんが「どこから来たのか」「休憩したら」「寒くないか」などと男性を引き留めるため、20分ほど声をかけ続けたといいます。

 保護された男性にケガはなかったということです。

 暗闇で視界が悪い中、警察よりも先に男性を発見したお手柄家族。父親の一也さんは、東山動植物園の飼育員で「夜行生物」の担当で、揖斐川町の徳山ダムができる際には、真っ暗な山の中で動物を探す調査もしていました。

 一也さんは夜行生物の飼育で暗い場所で物を探すことにも慣れていたといいますが、「自分1人では出来なかった。家族のチームプレーで見つけることができてよかった」と話しています。

「普段からいいお父さん」と話す2人の息子は、今回の件でより一層その気持ちが強くなったといいます。

 大垣署の田代署長は、「まだ気温も低い時期で命の危険もある状況。家族のチームワークでよく探して頂いた」と話しています。