岐阜の夏の風物詩・長良川鵜飼が11日に開幕しました。コロナ禍で船頭の離職が相次いだため、2023年は多くの「新人」の船頭が鵜飼の観覧を支えています。

 1300年以上の歴史を持つ岐阜・長良川の鵜飼が11日、初日を迎えました。

 2022年までコロナ対策のため設置されていたパーティションを撤去。7割に制限していた観覧船の定員も一部を除き通常に戻すなど、復活の年に。コロナ禍前並みという8万5000人の観覧客数を目指します。

 そのために強化したのが、観覧船を操縦する「船頭」の求人です。コロナにより鵜飼の開催中止が続いた影響で、船頭の多くが収入減などを理由に職を離れてしまっていました。

 そこで鵜飼観覧事務所は開幕を前に、大学生や主婦など新たに40人の船頭を採用し、訓練を積んできました。

【動画で見る】本職は“提灯職人”…コロナ禍からの復活目指す岐阜・長良川鵜飼 新人船頭が迎えた初日「大変緊張しました」

 44歳の山下章さんもその一人。本職は伝統工芸品「岐阜提灯」の職人です。

山下さん:
「鵜飼の船頭が減ってきているということで、後継者がいない。これは提灯も同じだなと思いながら、もし何か岐阜のことで手伝えることがあるならということで応募してみました」

 提灯も鵜飼も、岐阜の伝統。地元を盛り上げたいという思いで、船頭に挑戦しました。

 午後6時過ぎ、26隻の観覧船が続々と出航していきます。

 山下さんは8年目の先輩とタッグを組み、船の前方を担当します。

 観覧場所までは、約4メートルある長い竿を操って、人の力だけで川を上っていかなければいけません。

 午後8時、鵜飼がスタート。11日は川の状況もよく、鵜舟と観覧船が並走する「狩り下り」を行うことに。

 鵜舟に近付き、迫力ある姿を間近で楽しんでもらいます。動力が付いた観覧船と紐で繋ぎますが、ここは先輩の役割。山下さんは今後のために動きをしっかり確認していました。

 そして鵜舟が横一列になり、一斉に鮎を浅瀬に追い込む、クライマックスの「総がらみ」。

観覧客ら:
「間近で見られたので、すごかった」

「コロナ禍で乗りたくても乗れなかったので、久しぶりに乗れてよかったです」

「なかなか普段見られないものなので、来てよかったです」

 新人船頭の山下さんに初日の感想を聞きました。

山下さん:
「お客さまを乗せて運行しましたので大変緊張しましたし、お客さまが乗っていらっしゃる分重いので、竿の力の入れ具合も全然違いました。まだまだこれから毎日船に乗って、勉強させていただきたいと思います」

 長良川の鵜飼は10月15日までです。