11月6日、日銀の植田和夫総裁が名古屋市中区で記者会見し、これまでの金融緩和の方針を続けることを示唆しました。円安や物価上昇の行方はどうなるのでしょうか。影響は16日に解禁されるボジョレ・ヌーボーにも及びそうです。

 5日、名古屋市中村区の「グローバルゲート」で行われた、輸入ワインの販売会。輸入ワインは止まらない円安で人気にブレーキがかかっています。2年前に比べて、仕入れ値は2割から3割高くなっているといいます。

男性客:
「(値上がりは)もうすごい感じますね。去年買ったものが、1年後の今日買ってみたら400~500円上がっているとか」

女性客:
「高くてちょっとやめておこうかなと思うことが時々ありますね。困る」

 円安による物価の上昇は、暮らしに暗い影を落としています。

 こうした中、6日、日本銀行の植田総裁が名古屋を訪れました。日銀は10月、金融政策を見直し、これまでの長期金利「1%上限」を「1%目処」とすることを決めています。

 これが今後の利上げ、円高につながるのか発言が注目されましたが…。

植田総裁:
「粘り強く金融緩和を継続することで経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていくことが、政策運営の基本となります」

 これまでの金融緩和の方針を続けることを示唆。市場も依然として円安傾向が続いています。

 円安は製造業が盛んな東海3県では、恩恵も与えています。

 11月発表されたトヨタ自動車の業績予想では、今期の営業利益を過去最高の4兆5000億円に引き上げ、うち円安の影響は1兆1800億円としています。

 しかし、行き過ぎた円安はもちろん悪影響もあります。

植田総裁:
「(東海地方は)企業部門にとっては円安の恩恵が及びやすい、そういう地域であるかと思います。ただ、ここは他の地域と同じですけれども、消費に若干のブレーキをかける効果は無視できない」

 為替相場は6日も1ドル149円台で推移していて、16日に解禁されるボジョレ・ヌーボーへの影響は避けられません。

ワインショップ・スタンドフォーの篠原達社長:
「仕入れ値は上がっているんですけど、売値は変えずに。損はしないんですけど、得もしないっていう感じですね」

 この店では、ボジョレ・ヌーボーほぼ全種類の販売価格を据え置くということです。ほかのワインでも、よりコストパフォーマンスに優れた商品を探すなど工夫しています。

ワインショップ・スタンドフォーの篠原達社長:
「厳しいといえば厳しい部分はもちろんあるんですけど、その中でアイデアと行動力で乗り切っていくという感じですね」

【動画で見る】日銀・植田総裁が金融緩和継続の方針を示唆「賃金が上昇しやすい環境を整えていく」円安で暮らしに暗い影