夏本番を迎え、各地でプールがオープンしていますが、プール内でマスクを着けている人も見られます。水辺でのマスク着用について、2人の専門家に伺いました。

 7月にオープンした三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットのプール「アクア・アドベンチャー」も、連日家族連れなどで賑わっています。今年は新型コロナ対策として、プールから上がったときはマスクの着用を呼びかけていますが、中にはプールで着けている人もいました。

 プールや海などでのマスクの使い方について、2人の専門家に伺いました。

 感染症に詳しい愛知県がんセンター病院の伊東先生は「マスクは地上にいるときだけでいい」としています。

 コロナは主に飛沫感染で広がりますが、プールでは消毒の塩素が新型コロナウイルスにも効果があります。また海や川では、水の流れでコロナなど感染性のある物質は、急速に分散されるため、感染リスクは軽減される可能性が高いということです。

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 水を介しての感染リスクは低いとしていて、むしろ地上にいる場面での警戒が必要だと話します。

 更衣室や混雑した砂浜など、3密環境はリスクが高くなります。水から出たらマスクを着け、2m以上の距離を保つなど、いつもしている感染対策を行うのが大切です。

 熱中症対策のため、家族以外と2m以上の距離を保てる場合は、マスクを外すようにしてほしいといいます。

 水の事故に詳しい水難学会会長で、長岡技術科学大学大学院の斎藤秀俊教授は、「水に入る場合はマスクを外してほしい」としています。

 マスクが濡れた場合、鼻や口にマスクがくっつき呼吸がしにくくなり、大変危険だと指摘します。水に入る場合は、浅瀬でもマスクをしないでほしいと話しています。水位が10cmあれば、大人でも不意に転ぶと顔が沈みマスクが濡れ、呼吸ができなくなる危険があるということです。

 マスクを着けたまま川に入り亡くなった事故が、2021年も既に数件起きているそうです。

 最近では「プール用マスク」などもあります。プール用マスクはシリコンやウレタン素材で作られ、ウイルスや飛沫を通さず、口元に空間が確保されていて呼吸もラクにできるというものです。

 ただ、専門家の2人は「地上にいるときだけならいいが、水中では口を覆ってしまい呼吸の妨げになるので外してほしい」と同じ意見です。斉藤先生は「指導者などが使うのはいいが、子供などが水に入るときは外してください」と説明しています。