新型コロナの重症化を防ぐ新しい治療法として「抗体カクテル療法」が注目されています。その効果と課題を取材しました。

 愛知県の一宮西病院は、新型コロナの入院患者専用の病棟があり、現在12人の患者が入院しています。

一宮西病院の竹下医師:
「7月は比較的落ち着いていたんですけど、愛知県も(感染者数が)どんどん増えてきている状態で、今週に入って入院要請が非常に増えています」

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 感染拡大を受け、日に日に増える重症患者を減らす新たな治療法として期待されているのが7月に、厚労省が特例承認した「抗体カクテル療法」です。

 この治療法は、新型コロナウイルスに効果のある2種類の抗体が入った薬を投与することで、抗体がウイルスと結合し細胞への侵入を防ぎ、重症化リスクが下がるということです。

 治療の対象は50代以上や肺に基礎疾患がある人、肥満の人など、重症化リスクが高い軽症や中等症の患者となっています。

竹下医師:
「初めての軽症でも使用できるお薬。早い段階で治療することで重症化を抑えてくれれば、病床のひっ迫を軽減できるかなと」

 海外の臨床試験では、重症化リスクのある患者で、入院や死亡リスクがおよそ7割低下したというデータもありますが、課題もあります。

竹下医師:
「今回の薬剤みたいにウイルスの増殖を抑える薬というのは、早い段階で使わないとあまり効果が期待できないというのがある。最初の7日以内に使うことが大事」

 十分な効果を得るには、この治療薬は発症後7日以内に投与しなければなりません。しかし…。

竹下医師:
「日数の問題なんですよね。週末とか連休を挟んでしまうと、(配送に)少し日数がかかってしまう」

 抗体カクテル療法で使う薬は現在、供給量が限られていて、使用するには国に申請してから配送してもらう必要があり、投薬のタイミングを逸してしまうこともあるといいます。

 実際にこの病院でも、国から薬が届くまでに時間がかかってしまい、投薬を見送ったケースもあったということです。

竹下医師:
「臨床医としてはすごく使いやすい薬が出たなと。すべての方にちゃんと届けていくような医療体制の構築ができれば、さらに前進していけるのかなと思っています」

※画像は中外製薬提供