三重県津市のごみ処理施設「津市リサイクルセンター」で10月27日、空き缶や自転車などの金属ごみが集められ、ベルトコンベアで作業員が選別作業をしていたところ、ベルトコンベアの先から286枚もの1万円札が流れてきました。市は警察に届け出るとともに、現金の持ち主を探しています。

 現金が今後どうなるのか、その行方を調べました。

 三重県警によると、落とし物について細かい規則はありますが、今回の件ではなくした人が見つかった場合、拾った側はその価値の5~20%の間でお礼を受けることができるということです。(割合は当事者同士で相談)

 警察が預かるのは3か月で、その間になくした人が見つからなかった場合は、拾った人が全額受け取ることができます。引取期間は2か月で、これを過ぎると所有権は都道府県、今回の場合は三重県に移ります。

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 持ち主が現れなかった場合はどうなるのか、津市の環境施設課は全額が津市に入ると説明しています。いわゆる「その他の収入」・「雑収入」として予算に組み込み、公共施設の運営など行政サービスの費用に充てられることになります。

 ただし、持ち主が見つかった場合は、お礼は受け取らず全額持ち主に返金することにしています。

 現金を見つけた作業員の皆さんはどう思っているのかも聞いてみました。

「津市リサイクルセンター」の中林光さんに話を伺うと、「あくまで津市の施設内の仕事で偶然見つかったものであり報告するのは当然で、特に不満に思っている人はいない。ただ今回は現金が見つかったことで、さらにその周辺からお金を探したり、警察からの聞き取りに対応したり、作業量自体は増えてしまった」と苦笑い。

 持ち主が見つからなかった場合には、市に「市民のためになるようにお金を使ってもらいたい」とのことです。

 こうした大量の現金が見つかったことは、これまでにもありました。

 愛知県豊田市では2020年2月、ゴミ収集車から現金1127万円が見つかりました。3日後には持ち主が見つかり、市は全額返金したということです。

 1989年には、神奈川県川崎市の竹やぶから1億3000万円が入ったバックが、その5日後には9000万円が入った紙袋が相次いで発見されました。この竹やぶには「3人目の発見者」を目指す人々が殺到しましたが、結局持ち主は見つかったということです。

 地元警察などには当時の資料は残っていませんが、一部の報道によると、拾った2人にはそれぞれ10%が支払われたとされています。