新型コロナワクチンの3回目接種が、医療従事者を対象に愛知県でも12月1日から始まりました。

 愛知県豊明市の藤田医科大学病院では、午前10時ごろから医療従事者を対象に接種が始まり、午後6時30分までに合わせて150人が接種を終える予定です。

 会場の責任者として指揮を執っている、藤田医科大学病院の岩田充永副院長に話を伺いました。

Q.先生も接種を終えられた?

岩田副院長:
「朝に接種をしました。今はちょっと接種部位が痛いですが、あとは大丈夫です。(副反応は)海外の報告だと2回目と同等の割合ということなので、翌日に予定がある時を避けて接種をしていただくというのが大事だと思います」

Q.会場ではスムーズに接種が進んでいる?

岩田副院長:
「私たちは2回の大規模集団接種でスタッフも慣れていますので、トラブルなく進んでいます」

 世界中で警戒が強まっている新たな変異種「オミクロン株」。国内では12月1日、2例目の感染が確認されました。愛知県でも、オミクロン株感染者の濃厚接触者が1人いると発表されました。

Q.オミクロン株は感染力がデルタ株よりも強いのではといわれているが?

岩田副院長:
「人間の体の中の酵素とくっつくスパイクタンパクの部分に32カ所の変異があるということで、確かにくっつきやすくなっている可能性はあるのではないかと考えられます。まだ実際の調査を待たないといけないですが、その可能性はあるということです」

 また、モデルナのバンセルCEOが、現在使われているワクチンがオミクロン株に対して「従来と同等の効果は得られないと思う」という見解を示しました。さらに、抗体カクテル療法を開発したアメリカの製薬会社は、オミクロン株に対し「効果が低下する可能性」があると明らかにしました。

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Q.こうした状況をどう受け止めている?

岩田副院長:
「特にワクチンに関しては心配されている方も多いと思うんですけれども、確かにスパイクたんぱくの変異している部分が多いので、感染予防効果というのは下がる可能性がありますが、重症化予防について全くなくなるわけではないので、やはり私たちが今できることは、できるだけ早く3回目の接種を前向きに検討していただくことだと思います。製薬会社としてはもちろん、新しいもの、効果が高いものを開発するんだという決意表明ということで、あまり過剰に心配される必要はないのではないかと考えています」

Q.抗体カクテル療法については?

岩田副院長:
「これについても、いま日本で行われている抗体カクテル療法については、スパイクたんぱく以外にくっつく製剤もありますし、スパイクたんぱくに結合する製剤もあるので、有効性については実際の検証を待たないといけないというところであります」

Q.年内に飲み薬は間に合う?

岩田副院長:
「審査の方は順調に迅速に進んでいると思うので、年内には処方できるようになるのではないかと期待しています。オミクロン株の感染者に対する検証というのはまだされていないのですが、薬の作用機序から考えると、全く効果がなくなるということはないであろうと、ある程度有効であろうということが考えられます」

Q.オミクロン株を警戒して病院の医療体制を変えたことはある?

岩田副院長:
「私たちはデルタ株の時にものすごく感染力が高いということで、感染対策の徹底というのを再度呼びかけました。今回も感染力は高いとしても、やる基本は変わらないです。災害の時と同じで、悲観的に備え、楽観的に過ごすということですね。準備、感染対策を引き締めていくということで、もし患者さんが増えても迅速に対応できるようにしていきたいと思っています」

Q.感染力は強いがあまり重症化しないという説もある

岩田副院長:
「詳細な検証を待たないと、今は過剰に心配するのではなくて基本を徹底すると。不織布マスク同士で会話をすること、換気を十分にすること、これは変わらないのではないかと思います」