2022年1月1日夜、名古屋市中区大須の居酒屋「とりとり亭」で火事がありました。

 出火当時、店には店員や客あわせて20人ほどがいましたが、外に避難しケガ人はいませんでした。消防によると客席のダクトが激しく燃えていたということです。

 こうした「ダクトの火災」はどのように起こるのか、調べました。

 北九州市消防局が行った、七輪の上に火が出ている状態で排気ダクトを回す実験では、ダクトの透明な部分にまで炎が到達しました。

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 さらに炎は勢いを増し、最後はダクトの外側まで激しく燃え始めました。

 大阪市消防局の「無煙ロースター」での同様の実験では、空気がダクトに送られ続け、3分半で透明部分にまで炎が伸びてしまいました。

 大阪市消防局によると、油汚れの蓄積がダクト火災の原因だといいます。

 焼肉店では、ホルモンなどから出た脂がダクト内に付着・蓄積し、そこに着火。ひどいときは、筒の直径の3分の1に油汚れが堆積していたこともあったということです。

 また無煙ロースターの場合には、炎を感知すると排気口を閉める「防火ダンパー」がついていますが、堆積した油汚れで作動しないこともあるということです。

 ぼや程度のダクト火災でも、消火時に天井や床を解体して消火することも多く、店に多大な損害を与える可能性があり、死亡事故につながる恐れもあります。

 ダクト火災を防ぐには、店が専門の業者に定期的に清掃してもらうことが大切ですが、客側ができる対策も伺いました。

 名古屋市消防局によると、「来店時に避難経路などを確認すること」「分かる範囲でダクトのキレイな店を利用してほしい」ということです。

 また、地下鉄・伏見駅前にある焼肉店「前沢牛舎 伏見屋」の店長は、「脂身が多い肉やホルモンを一度にたくさん焼かないこと」「網から火が出たときに氷を網の上に置くと火は収まりやすいので、手元に氷入りのドリンクを準備しておく」と話しています。