大規模な漏水が発生している愛知県豊田市の明治用水頭首工(とうしゅこう)は、復旧の目途が立っていません。ポンプの設置も進められ応急処置が続きますが、地域の工業や農業への影響が出て、長期化する懸念も出ています。

 工業用水として供給を受ける事業所のうち、8割が自動車関連企業です。

 トヨタ自動車は井戸水などを活用し、通常通り工場を稼働させていますが、節水のため、従業員に在宅勤務を呼びかけています。今後は「取引先の状況も含めて動向を注視していく」としています。

 トヨタグループの豊田自動織機は、部品の供給に影響が出たため、大府市の工場で一部稼働を停止しましたが、供給が可能となったことから19日午後5時から再開を予定しています。

 またデンソーは、刈谷市の本社などあわせて6拠点で貯めた水や井戸水を使って対応し、業務への影響はないとしています。

 ライフラインへの影響も出ています。電力会社のJERAが運営する碧南火力発電所でも給水が止まっています。JERAはもともとタンクに一旦水を貯めていて、その水を使うことで5日程度は運転を続けられるとしています。

しかし、限られた水の使用量を減らすために、18日午後8時から、碧南発電所の出力を半分程度に抑えて運転しているということです。

 また碧南市の衣浦衛生組合では、ゴミ処理の焼却炉で使う冷却水を水道水に切り替えています。

農家は“生活排水”を田んぼへ…「排水路から汲んででも水あげねば」用水の取水施設での大規模漏水 影響続く

 農業への影響について、JAあいち中央に組合員の農家から多くの相談が寄せられていて、「このままだと稲が枯れてしまう」など、生産への影響を懸念する声も上がっています。