居場所を求める若者たちが集まる名古屋市中区の栄広場・通称「ドン横」が、6月27日に閉鎖されました。こうした場所は「サードプレイス」と呼ばれていて、社会福祉の専門家は「自己肯定感を得られる場」になっていると指摘します。

 目の前に「ドン・キホーテ」があることから、通称「ドン横」と呼ばれていた名古屋市中区の栄広場が、6月27日にビル建設のため閉鎖されました。

 ここでは、家出するなどした若者が居場所を求めて集まっていました。

【動画で見る】グリ下やドン横など…居場所を求める若者達はなぜ繁華街に集うのか 専門家が指摘する「サードプレイス」とは

 市販薬を大量に持っていた男性(20)は…。

フリーターの男性(20):
「僕は色々あるので、家庭環境とか。死にたくなるのを止める薬みたいな」

 21歳の女性は、体中に「リストカット」の痕が…。

ホストクラブ通いをしていた女性(21):
「ホストにカケ(借金)作らされて、それで働かんといけんやん。風俗とかそっち系に落ちていって。精神疾患だったりとか家で問題があったりとか、虐待とか。みんな集まって話し合って仲良くなる。居場所は必要やと思う。だから、栄の広場がなくなったのはめっちゃ悲しい」

 社会福祉が専門の明治大学・岡部卓教授は、「学校にも家庭にも居場所のない子供や若者たちが、第三の場所・サードプレイスに集まる。 繁華街の一角がその場所となっている」と話します。

 アメリカの社会学者が述べた言葉で、『家庭』がファーストプレイス、『学校や職場』などがセカンドプレイス、家庭や学校・職場以外の社会的な居場所をサードプレイスと呼び、家庭や学校・職場などでもなかなか得られないつながりを求める場所だといいます。

 例えば、サラリーマンが居酒屋で談笑したり、推しのタレントをみんなで語り合ったりなど、自分の存在を肯定してくれる「自己肯定感」を得る場だということです。

 岡部教授は、「『ドン横』が若者にとってのサードプレイスになっているが、彼らは社会に対しての免疫が弱い。優しい言葉などを簡単に信じてしまい、犯罪に巻き込まれることにつながる。日本では、こうした若者の相談や支援をする人が極端に少ない」と話しています。