日本全国の旅行を対象に、国から最大1万1000円分の補助が出る「全国旅行支援」は、10月11日から始まると発表されています。

しかし、東京都が少なくとも10月11日からは実施しないと発表するなど、制度にほころびもみられます。また、街の人からは「県民割との違いは?」「申し込み方法は?」「いつの予約から適用される?」など、たくさんの疑問の声も聞かれました。

現時点ではわからないことも多く、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)さんにも伺い、9月末時点の現状や予想される対応をまとめました。

■まずはおさらい「全国旅行支援」…内容は?「県民割」との違いは?

 はじめは、これまでの「県民割」との違いです。県民割やブロック割は、割引の上限が5000円で期間は10月10日までです。そして10月11日から全国旅行支援が始まり、12月下旬まで予定されています。割引上限額は同じく5000円ですが、「日帰りツアー」なども対象になり、同じく最大で5000円引きになります。

新幹線や飛行機など公共交通機関の移動を含む「ツアー」などを利用した場合は、8000円まで補助されます。ただし、公共交通機関の移動は「旅行会社が販売するツアーのみ」が対象で、個人の移動は対象になりません。

旅先で食事やお土産などに使えるクーポン券は、平日の宿泊で3000円分、休日で1000円分もらえます。これをあわせると最大で1万1000円分となり、これまでの県民割より4000円多く補助が受けられます。

【動画で見る】県民割との違いは?申込方法は?いつの予約から?…ギモンいっぱいの『全国旅行支援』現状や予想される対応は

「土曜日に宿泊」以外はすべて「平日」扱いになるので、日曜日や祝日にチェックインしても3000円分のクーポン券がもらえます。

■「どこに申請するの?」「手続きは面倒?」申し込み方法について専門家の予想は…

 申し込み方法については、自治体ごとに決められます。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは、申し込み方法は主に2つになるのではないかとしています。

【自分で申し込むパターン】

 まず宿泊施設を予約し、専用サイトでメールアドレスと宿泊情報を登録し、クーポン番号を入手します。

宿泊先についたらクーポン番号を提示し、12歳以上の人全員の「身分証」と、「3回目のワクチン接種済証」または「陰性証明」を提出するという方法です。あくまで「証明」が必要なため、自主検査は無効になるとみられています。

これで手続きが完了し、現地で飲食や買い物に使えるクーポン券がもらえ、清算はその場で割引される形としています。

【「旅行サイト」や「旅行代理店」で申し込むパターン】

 HPなどから全国旅行支援に該当するツアーを申請し、支払いのときに代金が割り引かれる方法です。旅先で「身分証」と、「3回目のワクチン接種済証」または「陰性証明」を提出し、クーポン券を受け取ります。

 鳥海さんは「専用サイトへの登録の手間を考えると、旅行サイトや旅行代理店から申し込んだ方がスムーズで便利」と説明しています。


■県民割とは併用不可でも、自治体独自の割引とあわせてさらにお得に!

 街の人からは「県民割と併用できるのか?」という声もありましたが、全国旅行支援が始まった段階で県民割は終了となり、併用することはできません。ただ、自治体が独自の割引を行っているケースでは、併用が可能になると鳥海さんは指摘しています。

例えば北海道札幌市では、10月31日まで実施する「サッポロ割」で3000円分の旅行代金が割引になります。併用した場合の宿泊費は、サッポロ割の3000円、全国旅行支援の5000円をあわせ、8000円分安く宿泊できます。10月後半は紅葉もきれいになり、人気になっているそうです。

また、「サッポロ割」にも買い物などに使える2000円分のクーポン券があり、全国旅行支援の平日3000円分のクーポン券とあわせて5000円分になり、最大1万3000円分お得になります。

他にも兵庫県神戸市では、ロープウェーや動物園、観覧車など、神戸市内49の人気スポットが1日巡り放題の電子パスポートを1800円で販売しています。(10月31日まで販売、2023年5月まで使用可能)

岩手県大船渡市では、1人1泊最大4000円が割引されます。また、1000円分のクーポンがつく独自の支援策を行っています。(2023年1月9日まで)

■「47通りルールができてもおかしくない状況」旅行代理店では混乱も…

 街の人からは「使えない所もある?」「開始前の予約は有効?」といった声もありました。「既に予約した10月11日以降分は補助をもらえるのか」について、鳥海さんは「補助を後からつけるのは可能になると思う」と話しています。

ただ、東京都は準備に1か月かかるとして間に合わないなどの理由から、10月11日からではなく10月20日から行うことを発表しました。こうなると、開始前に泊まっても全国旅行支援の補助はつかないということになります。

 こうした影響で混乱も起きています。旅行代理店の「シティツアーズ」に話を伺いました。

シティツアーズの担当者:
「(全国旅行支援が)適用になると思ってご旅行を申し込みされている方が、行かれる目的地の都道府県が別の情報を出してしまうと、ご予約がキャンセルになってしまう可能性もありますし、(キャンセル時に)キャンセル料がかかる可能性もあります。インパクトが大きい目的地がもしなってしまう(補助が出ない)と困ってしまう」

全国旅行支援に関する情報が少なく、客への対応に追われているといいます。

シティツアーズの担当者:
「お客さまから非常に問い合わせが増えているんですけど、中身の詳細というのは全く下りてきていないような状況です。47の都道府県があくまでも決定主体になるということですので、47通りルールができてもおかしくないような状況の中で、お客さまに個別に案内をするというのは非常に今情報が少ない中でしづらいというのが現状です」

■愛知と岐阜は11日からのスタートを既に決定…どうなる東海3県の全国旅行支援

 東海3県の自治体で、全国旅行支援の担当者にも話を伺いました。

愛知県は、9月29日の記者会見で大村知事が、10月11日から開始すると正式に発表しました。キャンペーン名は「いいじゃん、あいち旅キャンペーン」です。担当者は「旅行会社やホテル、土産店などの協力でなんとか間に合いそう」と話しています。

岐阜県は9月30日に、「“ほっと一息、ぎふの旅”キャンペーン(全国旅行支援)」のキャンペーン名で10月11日から開始すると正式に発表しています。担当者は「今後も速やかに対応していきたい」と話しています。

三重県はまだ正式に発表していませんが、10月11日のスタートを目指して準備を進めているということです。担当者は「スケジュールはタイトですが、関西・関東の方にも来てもらえるチャンスなので頑張りたいです」と話していました。