名古屋発の中国料理チェーンとしてのお馴染みの「浜木綿(はまゆう)」が “町中華”の店をオープンした。名古屋で長年愛されてきた老舗中華が手がけているとあって、人気を集めている。

■東海エリアに27店舗を展開する中国料理チェーン「浜木綿」

 名古屋を代表する中国料理チェーン「浜木綿」。

【動画で見る】実は“原点回帰”…『町中華』本家に引け取らない品々に常連も「間違いない」

創業55年とその歴史は長く、東海エリアに27店舗を展開。広々とした店内には高級感が漂っている。

歴史があるだけに人気メニューも豊富だ。肉汁溢れる小籠包に…。

野菜たっぷりのホイコーロー。

目当の客も多いという担々麺や…。

餡がたっぷりかかった天津飯まで、どれも本格的な味わいが自慢だ。

50年通っているという常連客は…。

男性客:
「味が間違いないというか、子供が食べても大人が食べても、安心して食べられるというのが一番魅力だと思います」

女性客:
「家族で来やすいところとか、メニューも色々あって美味しいところ」

家族や仲間での利用はもちろん、ゆったりくつろげる個室もある。

女性客:
「この人(友人)がアメリカに住んでいて、帰国したので会いました」

お祝い事や会合に利用する人も多いという。

■新業態は原点回帰の“町中華”「いろんなお客様がお腹いっぱい食べられる」

 そんな本格中華が楽しめる浜木綿が2022年の7月、千種区茶屋ヶ坂のバス停前にオープンさせたのが、町中華の「中国食堂はまゆう」。

表にはメニューのサンプルが飾られていて、まさに町中華の雰囲気が漂っている。

町中華は家族経営が多く、後継者不足などから閉める店も増えている。そんな町中華を、なぜ今始めたのか。

中国食堂はまゆうのマネージャー:
「気軽にいろんなお客様がお腹いっぱい食べられる町中華という形で、『中国食堂はまゆう』はオープンしました」

今でこそ高級中華のイメージがある浜木綿だが、55年前の1967年に創業したときは町中華からだった。

その頃の雰囲気をもう一度、令和の時代によみがえらせたいと、カジュアルな内装と大きなカウンターがある立ち寄りやすい店をオープンした。

女性客:
「一人で来るんですけどとっても来やすくて、すごく素敵なお店だと思います」

別の女性客:
「美味しいですよ、他のお店(浜木綿)と同じように。で、ちょっとお値打ち」

ランチのニューは、ほとんどが1000円以下。町中華の定番、「炒飯&ラーメン定食」はサラダも付いて979円だ。

男性客:
「基本ラーメンや炒飯は好きなので、やっぱり美味しいっすね」

本家・浜木綿で人気の「名代の小籠包定食」も、サラダやスープ、天津飯までついて979円。

女性客:
「天津飯、前も食べてすごい美味しかったんですけど、卵がふわふわでトロっとしてとっても美味しかったんで」

■モットーの「丁寧に作る」は“本家”と同じ

 値打ちとはいえ、味は“本家”に引けを取らない。オープンキッチンが自信の表れだ。

「にらとレバーの炒め」(649円)の調理を見せてもらった。

まずは、下味を付けたレバーを油で10秒ほど揚げる。

調理スタッフ:
「とにかく柔らかく食べていただきたいので、揚げ時間は極力短く、そして最後炒めで仕上げる」

丁寧に作る、そのモットーは町中華でも変わらない。高温に熱した鍋でタマネギやモヤシを炒め、しょうゆベースの辛めのたれで味付けし、シャキシャキ感を残すため最後にニラを合わせれば完成だ。

柔らかいレバーと炒めた野菜の相性は抜群。ちょっと家庭では真似できない味だ。

女性客:
「好きです。レバーが全然臭みが無くて。ちょっとお子様には辛いかなって思うけど、私たちぐらいにはちょうどいい」

アッツアツの「秘伝の四川麻婆豆腐」も人気だ。649円と値打ちだが、作り方は「この値段でここまで!」と思わせるほど本格的。

調理スタッフ:
「油に香りを付けるというのが四川の流儀なんです。最初にネギの香り、ニンニクの香り、ショウガの香りを油の中に閉じ込めて、それからスパイスで味を付けていく」

味の決め手は、2種類の唐辛子と山椒をブレンドしたスパイス。これを油で炒めると、独特のピリ辛が出るという。

紹興酒で香りをまとわせ、浜木綿自慢の麻婆豆腐のタレを合わせたところで豆腐をしっかり煮詰める。

熱々に熱した器に盛り付ければ、辛いのが好きという方にはお勧めの、山椒がピリッと利いた「秘伝の四川麻婆豆腐」のでき上がりだ。

男性客:
「ちょっと辛かったですけど、非常に美味しくいただきました」

女性客:
「美味しいです。ウマ辛って感じです」

■「名古屋の街中華の火を消さぬように」…メニューを少なめにして若手育成の場にも

そして驚きの一品が「真っ黒酢豚」だ。

パッと見は酢豚には見えないが、客の席で黒酢をかけて完成させる趣向だ。

女性客:
「美味しそうですね、目の前で」

パフォーマンスだけではない。長時間蒸し、脂をしっかり落とした豚バラ肉に、片栗粉をまぶし、油でさっと揚げてある。

調理スタッフ:
「中まで火を通さずに、表面だけ固める。カリッと揚がっているんですけど、中はしっとりと仕上がっている」

熱した器に、玉ねぎとブロッコリー。その上に、先ほどの豚肉をトッピング。あとは、客の目の前で黒酢をかければ完成。外はカリッと中はジューシーな豚肉。濃厚で酸味の効いた黒酢との相性は抜群だ。

「真っ黒酢豚」(759円 ※平日ランチタイム以外での提供)

男性客:
「酸味が利いていて、すごく美味しいです」

女性客:
「お肉も柔らかくて、あんも美味しかったです」

 メニュー数は“本家”よりも少な目。

こうすることで、若手料理人の育成の場としての役割も担っているという。

中国食堂はまゆうのマネージャー:
「昔はたくさんあった町中華ですが、どんどん減ってしまっていますので、名古屋の町中華の火を消さないようにこれからも頑張っていきたいと思います」