2023年2月の愛知県知事選挙では、ジブリパーク開業や新型コロナへの対策などを主導してきた大村県政の継続か、刷新かが問われます。強力なリーダーシップで大型事業を実現してきた大村知事に、県民からは盟友との関係修復を望む声もあがっています。

 11月1日、長久手市の愛・地球博記念公園にオープンした「ジブリパーク」。

大村愛知県知事:
「世界中の皆さんから、このジブリパークを見るために日本に来るんだと、ディスティネーションだと、日本に来たい、ジブリが見たい、そういう皆さんの夢を叶えていきたいと思います。夢だけど夢じゃなかった」

 ジブリパークは、大村知事が3期目の最も力を入れた公約とし、施設や周辺道路の整備におよそ500億円を投じたビックプロジェクトです。

 連日、県内外から多くの人が訪れ、観光の柱にしようという目論見は今のところ順調です。

【動画で見る】ジブリパークにステーションAi…4期目目指す大村知事の評価は “盟友”との関係修復望む声も 2月の知事選

名古屋からの来園者:
「ユニバ、ディズニー、ジブリパークみたいな感じで、愛知県に住んでいてうれしいなと思いますね」

静岡からの来園者:
「愛知県の方には、こういうジブリパークの機会がないとなかなか来られないので、ちょうどいいかなと」

 大村知事が3期目で形にした大型事業は他にもあります。2019年には、常滑市に中部国際空港と直結する国際展示場「Aichi Sky Expo」が開業。

 さらに、スタートアップ企業の国内最大級の支援拠点「ステーションAi」の開設や…。

 2026年のアジア競技大会に向けた、県体育館の建て替えといった事業も走り始めています。

 そして、大村知事の3期目を振り返る上で欠くことができないのが、新型コロナへの対応です。

大村愛知県知事(2022年8月):
「本日をもって、愛知県医療ひっ迫防止緊急アピールを出させていただくことといたしました。やはり厳しい状況だと」

 連日会見を開き、感染防止対策の徹底を県民に呼びかけてきました。

愛知県民:
「情報の発信は、コロナに関してはあるかなと思いますけどね。国があまりきちんと今発信しない中で、やっぱり県民としてはどうなんだろうというのがあるから、それはありがたい」

 大村知事の発信力を評価する声があがりました。また、県民から数多くあがったのは、かつての盟友との関係修復を望む声です。

愛知県民:
「仲良くしてほしいよね。ほんと大人げないです」

別の愛知県民:
「本来は仲良くできる人だと思うんですよね、あの2人は。(行政が)停滞するだけですよね」

 かつて「村村コンビ」と呼ばれた名古屋市の河村市長との関係は、完全に冷え切りました。

 3年前の「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」を巡る対応は、河村市長が率先して呼びかける大村知事のリコール署名運動に発展しました。

 今も負担金を巡って、名古屋市との間で裁判沙汰になっています。

河村名古屋市長(12月2日):
「皆さんの税がですよ、こういう反日展示に使われたと。知事の独断・独裁で使われたということ、本当にええんですかこれ」

 また、既に主要政党から支援を取り付けるなど、4期目に向けた布石を着々と打つ大村知事ですが、「剛腕」とも形容できるトップダウンの政治手法に、県会議員の中にはもどかしさを感じるという声もあります。

<若手県議>
「知事は絶大な権力。そこにおもねってしまい、行政を監視する立場の議員であることをわかっていても実行できない。もどかしさを感じている人は多い」

大村愛知県知事(12月12日):
「(3期目は)暗中模索の中でいろんな壁にぶちあたりながら、乗り越えながらやってきた。政治行政はやはり結果を出さないといけませんのでね、世界に向かってチャレンジしていく愛知を、引き続きまた盛り上げていきたい」

 愛知県の舵取りをさらに4年、大村知事に委ねるのか、それとも新たなリーダーを求めるのか。

 知事選には大村知事のほか、いずれも新人で、前春日井市議の末永啓さん(37)、経営コンサルタントの山下俊輔さん(60)、共産党などでつくる「革新県政の会」が支援する尾形慶子さん(65)、薬剤師の上原俊介(46)さんが立候補を表明しています。

 告示は23年1月19日で、投開票は2月5日です。