小さな子供を持つ親にとって欠かせないベビーカーですが、公共の場では周りに気を遣うなど、困っている人が大勢います。その背景を専門家に聞きました。

 11月にオープンしたジブリパークではベビーカーの持ち込みが禁止されていて、園内では子供を抱きかかえて回らなければなりません。理由について、ジブリパークの運営会社は「十分なスペースがない所があり、お客さまの安全を配慮しベビーカーをお預かりしています」としています。

 東海地方の主なテーマパークや観光地では、概ね持ち込みOKです。

【動画で見る】ジブリパークは持込禁止…街で聞いた『ベビーカーでの困り事』嫌な顔や舌打ち等気になり行動に気を遣う人多く

 また名古屋市では、地下鉄は折りたたまずにそのまま乗車でき、市バスは乗務員が固定スペースにベルトで固定してくれて乗車できます。

 名古屋の街で、子育て世代の方に「ベビーカーでの困り事」について聞いてみました。

1歳5カ月の子を持つ母親:
「ショッピングモールとかで(エレベーターに)ちょっと乗りづらい。いっぱい待っていたりすると申し訳ないなと。(嫌な顔をされることも)多少あります。手伝ってくださる方もいらっしゃると思うので、出会えたらラッキーぐらいな感じで」

3歳の子を持つ母親:
「満員電車とかだとスペースを結構とるので、子供をおろして(ベビーカーを)たたんで乗ったりすることはあります。きつい言葉とかではないですけど、ちょっと舌打ちをされたりという話は聞いたことがあります」

1歳9カ月の子を持つ母親:
「ハードルが高いというか、ベビーカーを持って公共交通機関を使って出かけるというのが、皆さんに迷惑をかけるかなという思いもあるので。移動の時は車で移動するようにしています」

3歳の子を持つ父親:
「小さな飲食店とかだとスペースがないので、ベビーカーだと入れないだろうなと思って、ベビーカーで行くことは諦めるみたいな。申し訳ないなと思っちゃうので、どちらかというと迷惑をかけるのはこっちの方かなと思っちゃうので、あんまりツッコむことはせず」

周囲の目が気になり、行動に気を遣っている人が多くみられました。

 ベビーカーでの困り事がなくならない背景について、宇都宮大学で都市交通計画を専門とする大森宣暁(おおもり・のぶあき)教授に聞きました。

大森教授の調査によると、公共交通機関を利用する時、日本では海外に比べて倍近い約4割の人が「混雑時にベビーカーを折りたたまずに乗車する」ことを「不快・迷惑と感じる」と回答しています。

また、「ベビーカー利用者が公共交通機関で周囲の乗客にしてもらう行為」を聞くと、日本は「席を譲ってもらう」ことや「乗降を手伝ってもらう」ことが海外に比べて少なく、「特にしてもらっていない」と答えた人が53%と、かなり高くなりました。

大森教授は「心のバリアフリーが大切。移動に制約のある人がどんなことで困っているのか、外出する時や公共交通機関を利用する時に、周りの人々がその人の大変さ・バリアを理解することが重要だ」と話しています。