1月7日に「七草がゆ」を食べると、1年を無病息災で過ごせるといわれています。しかし街で聞いたところ、「食べる」と答えた人が少ないどころか、存在を知らないと答えた人も。七草がゆの歴史や効果について取材しました。

■「食べない」が7割超…街で聞いた「1/7に七草がゆを食べますか?」

 街の皆さんに、今年は七草がゆを食べるかどうかを聞きました。

30代女性:
「(食べる予定は)ない。子供の頃に食べたことはありますけど。(子供が)あんまり野菜が好きじゃないので」

40代男性:
「今のところはないけど。(Q.なぜ食べる人が少ないと思う?)作るのが面倒だからじゃないですかね」

女の子:
「毎年食べています。今年も頑張ろうかなって(思える)」

20代女性:
「(食べる予定は)ないです」

30代男性:
「うちはない。食べへん」

食べる予定がないと答えた人が多くいましたが…。

20代男性:
「七草がゆって何ですか?もうそこから分からないです」

知らないという人もいました。30人に聞いた結果、食べる予定がないと答えた人は7割以上となる22人でした。

「春の七草」をどれだけ知っているかについても聞きました。

【動画で見る】「七草がゆ」を食べないどころか知らない人も…「現代こそ食べてほしい」専門家に聞いた7つの効能

40代男性:
「くぅ~、ナズナとか…あとなんでしたっけ?」

20代男性:
「なばな…?」

30代女性:
「えー、わからないよね。小さいカブみたいなのが入っとって…」

40代男性:
「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ!ドラクエの呪文ばりに覚えています。(覚えたのは)大学2年生の時です」

全て答えることができた人は、30人中5人でした。

■「現代こそ食べてほしい」…専門家に聞いた“七草がゆの7つの効果”

 春の七草は「セリ」「ナズナ」「ゴギョウ」「ハコベラ」「ホトケノザ」「スズナ」「スズシロ」の7種です。

セリは「競り勝つ」という意味を持つ縁起物、ナズナは「ペンペングサ」の別名でも知られています。

ゴギョウは「仏の体」という意味があり、ハコベラは、漢字で書くと子孫繁栄の文字と重なることから縁起が良いとされています。

ホトケノザは、仏の台座に似ていることから名づけられました。スズナはカブの昔の呼び名、スズシロは同じくダイコンの別名です。

 食文化に詳しい名古屋文理大学短期大学部の佐藤生一名誉教授に、七草がゆについて聞きました。

佐藤名誉教授によると、七草がゆのはじまりは江戸時代とされているということです。中国から伝わったおめでたい日「五節句」の1つ、1月7日の「人日(じんじつ)の節句」に中国では七種類の若菜を食べる風習があります。日本でも「若菜摘み」という、年の初めに野草を食べる似た風習があり、これが合体して、江戸幕府の公式行事として1月7日は七草がゆを食べる日になったといわれています。

 江戸時代からすでに、邪気を払うといった精神面だけではなく、正月に食べ過ぎた胃を休めるといった栄養面も考慮されていたといいます。佐藤名誉教授は、現代こそ七草がゆを食べて欲しいと話します。理由として“7つの効果”をあげています。

1.疲れた胃腸を助ける酵素が含まれている

2.でんぷんを分解するアミラーゼなどで「二日酔いの解消」

3.ビタミン・ミネラル・食物繊維などにより「便秘を解消」

4.抵抗力があがり「風邪の予防」

5.セリやスズナに利尿効果が含まれていて「むくみの解消」

6.ビタミンCによる「シミ・そばかす予防」

7.1~6などで総合的に体調が整い「リラクゼーション効果」

七草の食べる量自体は少なくても、十分に効果を期待できるということです。

■「文化を繋いでいくことが大事」七草の普及に力を注ぐ“農系ラッパー”

 愛知県豊田市の山道の先に、ビニールハウスが並ぶ農園があります。タンクトップにキャップ、ジャラジャラのネックレスを付けた、インパクトが強めな男性が農園の主・安藤源さんです。

くらら農園の安藤さん:
「(Q.この服装は?)私はラッパーでもありまして」

<♪NANAXXA RAP(ナナクサラップ)>
せり なずな ごぎょう はこべら
ほとけのざ すずな すずしろ
wassap?wassap?

安藤さんは「農系ラッパーMC.G」という名前で2年前から活動しています。

安藤さん:
「七草のことを知ってほしいなというのがまずあって、七草のPRになるような曲を作りたいなということで作りました。ロマンですね、七草の魅力は。ルーツとしては平安時代とか鎌倉時代とか、それをずっと食べ続けている人がいるっていうことですよね」

始めたきっかけは、名古屋在住の有名ラッパー・呂布カルマさん。見よう見まねで作詞・作曲したところ、面白さに目覚めたといいます。

安藤さん:
「三重県の伊賀の有機農家さんから『聴いて笑わせてもらっています』というファンレターが届きました」

CDも自主製作し、近所やSNSでつながる全国の農家さんには大好評だったといいますが、これまでに売れたのは約60枚。

安藤さん:
「一般の人に聴いてもらったら面白いと思いますけど、今のところ農家が聴いているような気がします」

同業者にはピンポイントで刺さる農系ラッパーMC.G。これからも七草を育てつつ、普及に力を注ぎます。

安藤さん:
「七草農家が七草を作って食べてもらえるようにする、文化を次世代に繋いでいくことが大事なことかなと思っています」

2023年1月6日放送