
「朝ラーメン」を始める店が増えているといいます。年間500杯以上のラーメンを食べ歩いているラーメンライターが「原点」という、静岡県藤枝市の「マルナカ」を取材しました。
全国各地のラーメンを年間500杯以上食べ歩いている、ラーメンライターの井手隊長は、「朝ラーメン」を始める店が増えたのはコロナの影響ではないかと話します。

ラーメンライターの井手隊長:
「やるお店が増えたのは、コロナになってからじゃないかなと思うんですよね。深夜で売上が作れなくなった分、空いている朝で売上を作らなければならないということで、朝ラーメンにタイムシフトした」
朝ラーメンといえば、福島県の喜多方市の習慣としても知られていますが、静岡県藤枝市が発祥の地とされています。藤枝市で初めて朝ラーメンを提供したといわれるのが「マルナカ」です。
【動画で見る】発祥の地とされる茶業盛んな街…『朝ラーメン』は静岡県藤枝市の元祖・マルナカの“やさしさ”から生まれた

名古屋市から車で2時間、静岡県藤枝市のマルナカは、1919年創業の100年を超える老舗です。

8時半の開店に合わせて、続々と人が集まってきました。

店員:
「すみません、お待たせしました。中華そばの並です」
男性客:
「週に2回くらい。会社の先輩に教えてもらってからもうハマっちゃいましたね」
別の男性客:
「子供の頃から来ているものですから。皆さん(朝に)コーヒーを飲むじゃないですか、あれと同じ感覚」
朝のコーヒー感覚というほど、藤枝市では朝ラーメンが定番だといいます。

マルナカの小栗さん:
「藤枝では(うちが)一番早いですね」
朝ラーメンの発祥といわれる、藤枝市の「元祖・朝ラーメン」の作り方を見せてもらいました。
スープは醤油に昆布や鰹節、豚のモモ肉などを入れて煮立たせたものを使います。さっぱりしながら、濃いめでコクのある味わいに仕上がるそうです。

使用する自家製の中太のストレート麺は、中華麺の風味やコシを出す「かんすい」をあえて少なめにして、つるつるモチモチに仕上げています。

麺を盛ったら、チャーシューやメンマなどをトッピングして完成、1杯600円です。

あっさりしていますが、キレのある醤油と豚で塩気とコクがあり、モチモチの麺と相性抜群です。
男性客:
「独特ですよね、そばに近いのかな」
女性客:
「脂っこくないのでサラッと食べられちゃう」
別の男性客:
「もうラーメンってこれだと思っていたので」

藤枝市はお茶に関する産業が盛んな町で、工場で夜通し働く人が朝早く訪れるようになったのが朝ラーメンが生まれたきっかけと、小栗さんはいいます。
マルナカの小栗さん:
「この辺はお茶農家とかお茶問屋とか、お茶の製造工場が盛んな町でしたので。お茶をもむ工場は夜通しなんですよね。お客さまが昼の時間から、だんだん朝早くにお越しになるようになりました」
夜中や早朝に仕事をする人が多く、朝食を求めて開店前のマルナカによくやってきたそうです。マルナカは昼と夜の営業でしたが、開店時間を早めました。朝ラーメンは、マルナカのやさしさから生まれたものでした。
マルナカの朝ラーメンが評判になり、その波は広がって、今では提供する店が藤枝市内に16軒あります。

よく見ると、どんぶりが2杯置かれているテーブルもありました。
男性客:
「冷やし、冷たいラーメン」
別の男性客:
「温かいのを食べた後にどうしても食べたくなる」
マルナカでは、温かいラーメンの後に冷たいラーメンを食べる“おかわり”が定番です。

冷やし中華と違い、お酢は使わず甘めにしたスープが特徴です。わさびも入ってさっぱり感も増し、2杯目でもあっさり食べることができます。
男性客:
「食べたくてどうしようもなくなっちゃうんですよね。飽きるってことがないですね」

マルナカは日曜・祝日と毎月第2・第4土曜日が定休日で、営業は午前8時半から午後1時20分までです。
2023年2月17日放送