愛知県稲沢市で30日午前、介護施設のワゴン車が乗用車と交差点で出合い頭に衝突し、合わせて10人がケガをして病院に搬送されました。1人は意識不明の重体です。

 現場は見通しの良い交差点で、警察は“コリジョンコース現象”が起きた可能性もあるとみて、事故の原因を詳しく調べています。

 コリジョンコース現象とは、運転席から見える相手の車が同じ場所に留まっているように錯覚する現象です。

 愛知県稲沢市の田んぼに囲まれた交差点。その角には横転したワゴン車と、それに突っ込むような形で止まる乗用車がありました。

 事故があったのは30日午前9時ごろです。介護施設のワゴン車が乗用車と交差点で出合い頭に衝突し、合わせて10人がケガをして病院へ搬送されました。

 横転したワンボックスカーの側面は大きくへこんでいて、後ろのドアが開いた状態になっています。

【動画で見る】“コリジョンコース現象”の可能性も…介護施設のワゴン車が乗用車と衝突し10人重軽傷 1人は意識不明の重体

 デイサービスの送迎中だったというワゴン車。警察によりますと、車内には利用者や職員の60代~90代の男女7人が乗っていて、このうち80歳の男性スタッフは意識不明の重体です。他の6人も重軽傷を負いました。

 乗用車に乗っていた50代と60代の夫婦や、事故を見て救助にあたった近所の住人も病院へ搬送されましたが、ケガの程度は軽いとみられています。

 事故はなぜ起きたのでしょうか。

付近の住民:
「大きな事故じゃなしに、小さい事故はもうしょっちゅう(起こる)。ドンドンと、その後にタイヤか何かのエアーが抜ける音、シューという音まで家で聞こえた」

 周りは田んぼに囲まれていて、視界を遮るようなものは見当たりません。

 こうした見通しの良い交差点では、事故につながる“ある現象”が発生しやすいとJAFは指摘します。

JAF愛知支部広報担当:
「事故の原因の1つとして、コリジョンコース現象というものがあります」

 コリジョンコース現象とは、運転席から見える相手の車が同じ場所に留まっているように錯覚する現象です。

 JAFが実験した動画では、画面左に見える白い車が大きくはなるものの、視界の中で動かないまま交差点に近付きます。

 視界の周辺では、動かないものは認識しづらいため、危険を感じるのも遅くなるといいます。

 直角に交わる見通しの良い交差点で、2台のクルマが「同じ速度」かつ「斜め45度の角度」で進み続けた場合に起きる現象です。

JAF愛知支部広報担当:
「相手の車の見え方が常に一定になってきますので、より錯覚に陥りやすいという状況になります。Aピラーという車の柱の影に、ピッタリと相手の車が隠れてしまうということも考えられます」

 乗用車の右側からワゴン車が走ってきた今回の事故。同じシチュエーションでコリジョンコース現象が起きた場合、車の柱に相手の車が隠れ、交差点で突然現れたように見えます。

JAF愛知支部広報担当:
「前を一点集中して走るのではなくて、周囲の状況もちゃんと目や顔を動かしながら確認して走行していただくことですね」

 見通しの良い交差点で、なぜ事故は起きたのか。警察はコリジョンコース現象が起きていた可能性もあるとみて、原因を詳しく調べています。