愛知県岡崎市にオムライスの人気店があります。SNS映えする「ぱっかーんオムライス」が人気で、店主のTikTok はフォロワー数が400万人以上います。もちろん食べてもおいしいオムライスで、日本一を狙う若き料理人に密着しました。

■TikTokの総再生数25億回 オムライス専門店の「ぱっかーんオムライス」が大バズり

 SNSで話題のオムライスの動画。チキンライスの上のオムレツをナイフでひと撫ですると…。

【動画で見る】“ぱっかーんオムライス”が大バズり…SNS総再生回数25億回のオムライス専門店 若き2代目の夢「楽しさを世界中に」

綺麗に開いて、オムライスが完成。

コメント欄には…

<TikTokのコメント>
「めっっっちゃくちゃ美味しそう!」
「凄い!芸術!」
「チーズが入ったやつとか食べたい」

絶賛する言葉が並んでいます。配信しているのは、神谷敢太(かみや・かんた)さん。

愛知県岡崎市のオムライス専門店「トロ~リ卵のオムライス さん太」の2代目です。

フォロワー数は400万人以上で、様々なSNSに500本以上の動画を投稿し、総再生回数は25億回です。

神谷敢太さん:
「もともとオムライス大好きで、作るのも食べるのも大好きだったんですよ。オムライス作りの楽しさっていうのを、世界に広めたいなと思って始めました」

神谷さんの店を訪ねるとは大勢のお客さんで賑わっていました。目当てはもちろん、動画にもあった「ぱっかーんオムライス」です。

つやっつやの美しいオムレツにナイフを入れると…。

中からあふれ出すとろっとろの半熟卵。

そこへ、デミトマトソースをたっぷりかけてます。さつまいものコロッケにサラダ、ドリンク・デザートがついて2400円です。

女性客:
「めっちゃとろとろで、私オムライス好きなんですけど、今まで食べてきた中でおいしかったです」

男性客:
「たまごとろっとろで、チキンライスとの相性最高でした。超絶おいしかったです」

別の女性客:
「TikTokで最初見て、思っていたとおりスゴかったです」

また別の女性客:
「すごく『映え』だなっていう感じで、よかったです」

お客さんを夢中にするとろっとろのオムライスの作り方を見せてもらいました。オムレツ専用のフライパンにバターとサラダ油を敷いて熱し、特製のたまご液を注ぎ…。

手早く激しくかき混ぜます。ちなみに、1人前に使う卵は、約3個分です。

中は半熟、外が薄皮のタイミングで、フライパンを優しくトントンしてゆっくりと巻き上げます。

もう一度火を通したあと、半回転すると、美しいオムレツができました。

神谷さん:
「オムレツの膜を薄く作ると、切った瞬間に自然にパーって開くようになるんですね。中の状態は焼き過ぎちゃうと自然に開かなくなっちゃうので、半熟の状態で仕上げて、お客様に届くころにはしっかりと火が通っているけど、半熟加減で出すようにしています。難しいです。一応、僕だけしかやってないですね」

卵をうまくまとめるのはもちろん、余熱の時間も計算して、お客の目の前で完成させます。このワザは神谷さんしかできないといいます。

■卵やケチャップなど素材にもこだわり 見た目のインパクトだけじゃない絶品オムライス

 このオムライスには材料にも工夫がありました。スタッフが、大量のたまごを割っています。

神谷さん:
「土日とかだと900個くらい使います。(手作業だと)結構、時間はかかるんですけど、新鮮さが命なので割りたてを提供しないといけない」

あらかじめ割ってある卵を仕入れるお店もありますが、オムライスは卵の鮮度で味が大きく変わるため、その日に使う分だけを毎朝1時間近くかけて割っているといいます。

神谷さん:
「たまごは地元・岡崎市の『岡崎たまご』っていうのを使っています。ニワトリがきな粉とか海藻を食べて育っているので結構甘みが強くて濃厚なんですよ」

そして生クリームを加え攪拌し、ザルで濾して滑らかにします。これで、たまご液の完成です。

お米は炊飯器ではなく鍋で炊きます。チキンライスがベチャッとしないよう、硬めに炊くのがポイントだといいます。

別の鍋では「味の決め手」になるケチャップを作っていました。

神谷さん:
「チキンライスに入れる自家製ケチャップですね。トマトから長時間煮込んで作っています」

トマトをベースに、ニンジンや香味野菜などを3日間炊き込んで作ります。

チキンライスに、この自家製ケチャップを投入し、とろとろのオムレツとの相性を考え、パラパラになるように、強火で炒めます。

とろとろのオムライスを作る技はもちろん、他にも手間暇がかかっていました。

■「チーズクリームかけ放題」「カマンベール丸ごと」 オムライスをさらに美味しく食べられるトッピング

「ぱっかーんオムライス」には「チーズクリームかけ放題ぱっかーんオムライス」(2600円)など、トッピングもあります。

一番人気はチキンライスの上に、温めたカマンベールチーズを丸ごと1つ乗せるトッピングです。

その上にオムレツを乗せて開くと…。

カマンベールチーズとチキンライスを包み込み、デミトマトソースをたっぷりかけて完成。「カマンベールチーズぱっかーんオムライス」(3100円)。

中を割ってみると、カマンベールチーズまでとろっとろです。

女性客:
「卵もチーズもとろとろで、おいしかったです」

■先代が“開発”した“ふわとろオムライス” 時代を先取りして一躍人気に

 開く瞬間のインパクト、楽しくなるトッピング、そしてもちろんおいしいこと。見て食べて幸せなオムライスを作るきっかけは、先代のお父さんでした。

神谷さん:
「うち、もともと洋食居酒屋だったんですよ。そこで裏メニューの『とろーり卵のオムライス』っていうのを僕の父が考えまして、出したらすごく流行って」

約30年前、卵をしっかりめに焼いた、いわゆる「昔ながらのオムライス」が当たり前の時代に、神谷さんの父親・知秀(ともひで)さんは、いち早く半熟タイプのふわとろな「とろーり卵のオムライス」(1180円)を考案しました。

これが一躍人気となり、居酒屋からオムライス専門店にチェンジし、いまでも、店のメニューに残っています。このオムライスを食べて育ってきたのが、2代目の敢太さんです。

神谷さん:
「僕もそれを食べて育ってきたので。どうやったら効率よく半熟にできるのかとか、箸の動きだとか、左手の動きだとか、そういうので効率よく混ぜているんですね。そういうのは父親の技を意識してやっています」

父親のオムライスを進化させ、2021年に生まれたのが、ぱっかーんオムライスでした。

■オムライスの名店が競う大会の東海地区代表に 日本一のオムライスを目指す

 神谷さんは、全国123のオムライスの名店が競う「オムライススタジアム」に出場し、東海地区の代表に選ばれました。

エントリーしたメニューは、チキンライスの上に牛肉100%のハンバーグ。

オムレツを乗せ、ぱっかーん。たまご、チキンライス、ハンバーグが融合した特製オムライスです。

カゴメオムライススタジアム2023東海大会担当の原田まき子さん:
「審査員の方の感想によりますと、パフォーマンスも素晴らしかったんですけど、加えてひと皿の中で食材のバランスがとてもよくおいしかったということと、完成度が高く技術力の高さを感じた」

日本一を決める決勝大会『オムライススタジアム』は5月13日。

神谷さん:
「自信はやっぱりありますね。WEB投票でも絶対ぶっちぎりで1位をとりたいと思っているので、ぜひお願いします」

今まで動画投稿で注目されてきたことで、自信も十分です。

神谷さん:
「僕自身、めちゃめちゃオムライスが大好きなので、オムライスに携わる人、作る人だったり食べる人だったり全ての人が幸せになってほしいなと思って、その思いで動画投稿とか発信していて、オムライス作りの楽しさを世界中に広めていきたいなと思いますね」


2023年3月20日放送