三重県鈴鹿市の「鈴鹿サーキット」で、高齢ドライバーが実際にサーキットのコースを使って安全運転について体験するイベントが開かれました。

 鈴鹿サーキット南コース。コーナーギリギリを攻める車に、激しい音を立てて急停止する車。運転していたのは…。

84歳男性:
「84です」

63歳男性:
「判断力が鈍るとか、動作が遅れるとか」

66歳男性:
「自分の運転をもう1回見直すいい機会になるのかなと思って」

 参加者は全員60歳以上のドライバーです。車体には高齢ドライバーを示す四つ葉マークもあります。

【動画で見る】高齢者がフルブレーキも体験…60歳以上のドライバー対象『脳内活性inサーキット』プロが安全運転のコツ指導

鈴鹿モータースポーツ友の会の福山副理事長:
「究極の安全運転をサーキットはさせていますので。高齢者の方々にも若々しい運転を取り戻してもらおうと」

『脳内活性inサーキット』と題したこのイベント。

 サーキット走行で必要な繊細なハンドルさばきや、予測して走る判断力などを、高齢ドライバーの安全運転に活かしてもらおうと開かれ、2023年で7回目です。

 急ブレーキの体験では、参加者が運転のプロからアドバイスを受けます。

福山副理事長:
「ちょっとABSが間が空いた。もっとカッカッカッとなるはずなんですけど」

参加者:
「それは踏み込みが甘いんですかね?」

福山副理事長:
「そうですね。もっと鬼ほど踏んじゃうことですね」

 普段の運転では経験しないフルブレーキを体験。参加者はブレーキの踏み込みが浅いことに気付かされます。

 きめ細かく指導する福山英朗さん(68)は、世界三大レースの一つ「ル・マン24時間」でクラス優勝を果たした経験の持ち主です。

福山副理事長:
「サーキットっていうのは自分の身を自分で守らなきゃいけないし、周りのことも守らなきゃいけない。緊張状態にある程度置いておくと、危機回避だとか危機管理にやっぱり大きく影響してきますし」

 プロから指導を受けた高齢ドライバーらは、運転技術も安全への意識も高まったようです。

66歳女性:
「すごく参考になりました。姿勢というか、座席とハンドルの位置とか」

63歳男性:
「日常の安全運転につながる、いい機会だと思っています」

 実際、過去にこのイベントに参加した人は、指導が生かされたといいます。

過去にも参加した68歳男性:
「ついこの間、住宅街を走っていたら、小学生が飛び出してきたんですよ。全然見えなかった所から出てきちゃって、久々にフルブレーキングで1mぐらいで止めたんですけど、ここでレッスンやっていて本当に良かったなと思った」

福山副理事長:
「ペダルの踏み間違いだとか逆走だとかっていうのは、ある程度は運転に取り組む姿勢だと思うんですよ。車は緊張感を持って乗りましょう。そういったことにこだわっていけば、(脳も)活性化もされていくし、上手な運転につながっていく」