愛知県常滑市の名古屋鉄道・空港線で20日夜、パンタグラフが破損した電車が立ち往生しました。暗闇の車内で過ごし、線路上を歩いて最寄り駅まで向かった乗客が、当時の様子を語りました。

 各地で強風が吹いた20日午後7時20分ごろ、名鉄岐阜行きの特急電車が、中部国際空港の空港島と対岸を結ぶ連絡橋の上で緊急停止しました。

 車内では「急ブレーキがかかりました。止まる時の衝撃にご注意ください」とアナウンスされ、その場で立ち往生となりました。

乗客:
「みんな不安だと思いますよ。だんだん電気が消えて真っ暗になって、この先どうしちゃうんだろうと」

 車内は暗闇となりましたが、約1時間半後、乗客400人が電車を降りて最寄りのりんくう常滑駅まで歩いて向かいました。

【動画で見る】橋歩いた乗客「風で体飛んでいくかと…」空港島と対岸結ぶ橋の上で特急が立ち往生 乗客らが語った“その時”

乗客:
「風がめちゃくちゃヤバかったですね。自分は体が大きい方なんですけど、飛んでいくかと思いました」

 一夜明けた21日午前7時50分過ぎ、名鉄空港線は常滑駅から片側の線路の折り返しで、1時間で2本程度で運転を再開しました。

 名鉄特急はなぜ緊急停止したのでしょうか。中部空港では20日、最大瞬間風速25.7mの強風が吹いていました。

 連絡橋のたもとから撮影した車両の映像を見てみると、車両の上にあるはずのパンタグラフが3つ全てありません。さらに、パンタグラフがなくなった車両で窓ガラスが割れている様子も確認できます。

乗客A:
「バリバリいってたよね」

乗客B:
「なにか物が当たりましたね。一号車に乗っていたんですけど、横の所に物が当たったような感覚で、すぐ止まりました」

乗客C:
「すごいバキって音したよね」

 車両は21日になっても連絡橋の上に止まったままで、中部国際空港駅では21日、折り返し運転をしている電車が到着すると、大勢の人が一斉に改札から出てきました。

福岡に戻る旅行客2人:
「みんな常滑(駅)で降りて、常滑がめちゃ混んでいました。15分くらい待ったら(電車)が来ました」
「(名鉄名古屋駅から)1時間くらいかかった」

一宮市に戻る旅行客:
「主人が今日手術なの。3時までにどうしても行かないかんのだけど、えーそうなんだ。急いでいますよ。どうしよう…」

 通常、名鉄名古屋駅から中部国際空港駅までは特急で30分ほどですが、21日は20分から30分ほど長くかかっていました。