「はしか」の感染者が世界で増えています。感染力はインフルエンザの10倍ともいわれていますが、『予防のカギ』となるワクチンが不足しています。

 WHOによると、2022年のはしかの感染者数は約17万人だったのに対して、2023年は30万人ほどと1.8倍になっています。

 林官房長官は13日、「国内での旅行にも注意が必要な状況」などと注意を呼び掛けましたが、その理由は国内でも感染が広がりつつあるためです。

 3月には、アラブ首長国連邦から帰国した名古屋市の姉妹(20代)と、岐阜県川辺町の女性(50代)にも感染が判明しました。

 感染力が強いはしかについて、厚生労働省はワクチンを2回接種することで予防できるとしていますが、そのワクチンが今、不足しています。

 名古屋市西区の名鉄病院では、3月に入り、ワクチン接種を希望する問い合わせが多い日には1日10件以上寄せられているといいます。

名鉄病院の宮津光伸センター顧問:
「はしかの単独(ワクチン)はもうありません。在庫ゼロです」

【動画で見る】“空気”からも感染…『はしか』拡大で問い合わせ急増もワクチン不足「まずは抗体検査を」

 現在ストックがあるのは、子供の定期接種で使われるものと同じ、“はしか”と“風疹”の「混合ワクチン」のみです。血液検査で抗体が不足していると確認された場合を除き、定期接種以外ではワクチンを打つことが出来ない状態です。

 抗体検査を受けに来た30代の会社員の女性は、相次いではしか感染が確認されている東京への出張を控えていました。

宮津光伸センター顧問:
「あなたの場合はMMRワクチンで打っているんですよ、平成元年にね。だから恐らく免疫はあるだろうと思います」

 母子手帳の記録から、1989年に接種歴があることを確認しましたが、それでも心配な様子です。

会社員の30代女性:
「60代の母が一緒に暮らしています。うつしてしまうといけないので。いろんな病院に問い合わせたんですけど、お子さんとか妊婦の方を優先されている病院もあって。感染してしまう怖さより、うつしてしまう怖さの方があります」

 抗体検査の費用は約5000円で、3日ほどで結果がわかり、ワクチンを打つ必要があるとなればようやく接種にたどり着きます。

 別の病院で受けた検査で抗体が不足していることがわかり、接種に来た女性看護師もいました。

女性看護師:
「いつ手に入って打てるかは、自分の病院では難しいという感じでした。発熱外来をしているので、打つことによってドキドキせずにできるので」

 はしか感染が拡大する中、ワクチンの不足で不安を感じています。

宮津光伸センター顧問:
「検査をすれば一番早く安心できるかなと思っています」

 ワクチンの不足について、宮津顧問に聞きました。

 今年1月に、安全性に問題はないものの予防効果が十分ではないワクチンを製造したとして、武田薬品が自主回収に踏み切ったということです。

 はしかには特効薬がないため、予防のためにワクチン接種の希望が急増していますが、抗体検査の結果を受けて実際に接種する人も増え、需要と供給のバランスが崩れている状況だといいます。

 はしかは感染力が非常に強く、飛沫や接触感染だけでなく空気感染もします。『昔の病気』いうイメージではなく、今迫っている猛威として注意が必要です。