三重県津市の「ランセン」は、ビーフシチューが人気の欧風レストランだ。開店と同時に満席になるほどの人気店で、63歳のシェフの男性が営む店を、妻や3人の娘が一緒に支えている。

■ほろほろビーフシチューが絶品…三重県津市の「ランセン」

 津市安濃町を走る県道沿いにある欧風レストラン「cafe and restランセン」。

【動画で見る】妻と3人の娘に支えられて…63歳のシェフが生み出すランセンの“行列ができるビーフシチュー” 甘味や肉のやわらかさを客が絶賛 妻「信念持って築いて」

午前11時の開店とともに、店内は連日ほぼ満席になる、客が絶えない人気店だ。

38年前にフレンチの店として始めたが、現在はハンバーグやパスタなどを楽しむことができるレストランに。

60種類以上あるメニューの中で、最も人気なのが「ビーフシチュー」だ。濃厚なソースと、とろける牛肉を、熱々の器で食べることができる。

女性客:
「めっちゃおいしいです。お肉がもうほろほろです」

別の女性客:
「むちゃくちゃおいしいです。濃厚な感じです

また別の女性客:
「もう1回食べたらやみつきになるような」

評判のビーフシチューを作るのが、オーナーシェフの奥山和也さん(63)だ。

ランセンのオーナーシェフ 奥山和也さん:
「自分がおいしいと思うものじゃなかったら、お客さんに出せへんですね。そのへんは妥協はしたくないので。ランセンと聞いたらビーフシチューと思っていただきたい。めちゃくちゃおいしいよ。自慢ですね」

■細部にまでこだわりが詰まった絶品ビーフシチューの作り方

 ビーフシチュー作りは、早朝から。2日かけて仕込むという。

奥山さん:
「シチューを仕込むときは朝6時くらいから」

10種類ほどの野菜や果物を炒めたところで、だしの元となる「子牛のスジ肉」にトマトペーストを塗り、オーブンで焼く。

奥山さん:
「(他では)あまりこんなことはしないと思います。トマトペーストの持つ酸味を消したいので、焼くことによってトマトのうまみだけとれる」

焼き上がると、野菜とともに寸胴に入れて6時間ほど煮込み、ひと晩寝かせる。

そして翌日、用意したのは国産牛のスネ肉の一部「タワラ肉」だ。脂身がとても少ないこの肉を使い、メインのスープを作っていく。

奥山さん:
「女性のお客さんも多いので、脂を嫌がるお客さんがみえるので、もうほとんど(脂が)ないみたいな状態です」

塩コショウやガーリックパウダーを軽くふり、フライパンで表面に焼き色をつけて、うまみを閉じ込める。

奥山さん:
「炒めた方がお肉のうまみが少しでも残るので」

焼き上げると、大きな寸胴へ入れていく。そして空になったフライパンは、赤ワインでフランベして、こびりついた「肉のうまみ」を溶かしソースに使うという。

奥山さん:
「フライパンについている、うまみを引き取る作業です。このうまみもソースの中に、シチューのソースに。もったいないです、これでおいしくなるので」

続いてタマネギやニンジン、リンゴなど10種類以上の野菜や果物を炒めて、甘みを引き出す。

炒めた野菜を寸胴に入れると、前日に仕込んだスジやトマトペーストでとったブイヨンスープを加え、弱火で煮込む。

大切なのはアク取りだ。こまめに取らなければスープに雑味がでてしまうため、最初の1時間は、目を離せないという。

奥山さん:
「こういうところで手を抜くと、おいしいものは絶対できないので、これだけは譲れやんっていうか、大事な部分」

こまめにアクを取り、弱火で煮込むこと6時間。ビーフシチューの基本のスープが、ようやくできあがる。

鍋から肉を取り出したところで、ハシを入れてみるとほろりと割れる。ゼラチン質が豊富なタワラ肉ならではだ。これがビーフシチューの具となる。

注文が入ると、スープに自家製のデミグラスソースや赤ワインなどを足して、軽く煮込んだら完成だ。

奥山さんが2日間かけて作ったランセンの「ビーフシチュー」(2500円)。

野菜の甘みと、赤ワインの風味が絶妙な濃厚ソースで、とろりととろける牛肉がたまらない。

女性客:
「甘みがあって、お肉もやわらかくておいしかったです」

別の女性客:
「脂がないですね、脂身がないので気に入りました」

また別の女性客:
「めっちゃお肉がやわらかいし、味もしっかりしていて、おいしいなと思いました」

男性客:
「めちゃくちゃお肉がやわらかくて、シチューもおいしくて、すごく気に入りました」

奥山さん:
「ちょっとソースは少し甘め。野菜で甘さを出しているので。お肉はやわらかいと思います」

■妻と3人の娘に支えられ…家族愛に溢れたアットホームな「ランセン」

 奥山さんをサポートするのが、妻の眞弓美さん、長女の聡美さん、次女の友三佳さん、三女のりささんの3人の娘だ。

Q2人は結婚して何年ぐらいですか

妻の眞弓美さん:
「(奥山さんへ)はい、何年でしょう?」

奥山さん:
「21歳の時に結婚しました、追いかけたのは僕です」

奥山さんが、眞弓美さんと結婚したのは、ホテルのフレンチレストランで腕を磨いていた頃だ。

ランセンは、1986年(昭和61年)に開いた。

仕事前には、娘が考えたという「掛け声」で士気を高めるのがルーティンだ。

長女の聡美さん:
「めっちゃ仲が良くて、元気だけがとりえ」

三女のりささん:
「全員自分の父親の料理が一番おいしいと思っている」

大の仲良しという奥山さん一家。こだわりのビーフシチューはもちろんだが、家族で客を迎え入れる、アットホームな温かい雰囲気もランセンにファンが多い理由となっているようだ。

女性客:
「すごく活気もあって、アットホームな感じがしていいなと思います」

別の女性客:
「あたたかい感じで、すごくフレンドリーにしゃべってくださっていい感じです」

男性客:
「雰囲気がすごいアットホームでいいです、店員さんもすごい気さくで」

Qどんなお父さんですか

長女の聡美さん:
「もう偉大です、尊敬。最後まで自分のやりたいことを貫いてほしいなと思っています」

次女の友三佳さん:
「好きやよ、大好きやよ」

妻の眞弓美さん:
「信念をもって一本築いていってください」

奥山さん:
「これからもランセンを盛り上げるように頑張っていきます。みんな助けてください」

ランセンは、絶品のビーフシチューとアットホームな雰囲気を家族の愛が支えている。

2024年12月9日放送