ノーベル賞の発表が3日から始まっています。4日は物理学賞で、東海3県からの受賞も期待されています。

 30年越しの受賞が期待されている、名城大学・飯島澄男(いいじま・すみお)終身教授は、埼玉県出身の83歳です。1968年に東北大学大学院を修了したのち、NECなどを経て、98年から名城大学の教授となりました。

 飯島さんが今からおよそ30年前に世界で初めて発見したのが、直径がナノメートル=1メートルの10億分の1単位と、とても細い筒状の物質「カーボンナノチューブ」です。

 ひっぱる力にとても強く、電気や熱をよく伝える性質を持っていて、半導体や電池など幅広い分野での活用が期待されています。

 飯島さんは、9月にオンラインで開かれた懇談会で…。

飯島終身教授:
「まず好奇心、好奇心がないやつは科学者になってはダメですって。科学者だけじゃないかもしれないけどね」

 カーボンナノチューブを取り出し、LEDライトを当てると…。

飯島終身教授:
「カーボンナノチューブに懐中電灯を照らすと音が出るんですよ。なぜでしょう?これがサイエンスの面白いところですね。私80歳過ぎましたけど、これ面白くて仕方がないです」

 いつまでも好奇心を忘れず研究を続ける飯島さん。30年越しの悲願達成に期待が高まります。

 物理の常識を覆す「小澤の不等式」を提唱した、中部大学・小澤正直(おざわ・まさなお)特任教授。東京都出身の72歳で、東京工業大学理学部を卒業した数学者です。

 主に名古屋大学で教鞭を取り、現在は中部大学の特任教授を務めています。

 量子力学の基本原理「ハイゼンベルクの不確定性原理」を覆す、その名も「小澤の不等式」を提唱。その理論は、2017年のノーベル物理学賞の対象となった「重力波の検出」などにも生かされています。

 さらに「世界最強の磁石」を発明した、大同特殊鋼顧問・佐川眞人(さがわ・まさと)さん。徳島県出身の79歳で、東北大学大学院修了後、富士通などを経て、2016年から名古屋に本社を置く大同特殊鋼の顧問を務めています。

 世界最強とされる磁力を持ち、安く作れる「ネオジム磁石」を発明し、モーターやスピーカーの小型化が実現しました。今後ますます普及する電気自動車にも、その技術が生かされています。