WBCの準決勝で侍ジャパンはメキシコに劇的なサヨナラ勝ちを収め、決勝に進出しました。東海地方の各地でも熱いエールが送られました。

 3大会ぶりの世界一奪還へ。メジャーリーガー揃いのメキシコとのWBC準決勝に向け、試合前の練習に臨んだ侍ジャパン。その頃、名古屋では…。

(リポート)
「午前7時半なんですけども、こちらのスポーツバーではすでに店を開けて、パブリックビューイングが開かれています」

 決戦に向け、21日は特別に午前7時半からオープンした名古屋市中区のスポーツバー「コート・オブ・アームズ」。

 集まった20人の客の前にあるのは、胡椒や塩の「ミル」です。お馴染みのポーズができるようにと店では50個を揃え、決戦を前に気合い十分です。

店長:
「皆さんに(ミルを)ガリガリしてもらえば、勝てるかなと」

 侍ジャパンへのエールは、三重県伊勢市でも。野球クラブ「伊勢志摩ボーイズ」は、尾鷲市出身の湯浅京己投手が、中学時代に所属していたクラブです。

伊勢志摩ボーイズの選手:
「キレのあるストレートを投げるので好きです。3人で抑えてくれるところが楽しみです」

湯浅投手を指導していた瀧コーチ:
「侍ジャパンに選ばれて、手の届かないところに行ってしまったなという感じがあるんですけど。0点に抑えてくれれば嬉しいです。見ていたら逆に緊張してしまうと思うんですけど」

 残念ながら選手たちは練習で見られませんが、遠く離れたマイアミにエールを贈りました。

伊勢志摩ボーイズの選手ら:
「湯浅選手!頑張れ!」

 メキシコとの準決勝は、0対0で迎えた4回、ここまで好投の先発・佐々木朗希投手が連打でピンチを招くと、痛恨のホームランを浴び3点のリードを奪われます。

 その後も6回まで得点が無い侍ジャパン。まさかの展開に、せっかく用意したミルも出番が訪れません。

男性客:
「打ってもらって、胡椒もぶちまかなきゃね」

店長:
「お肉を注文したお客さんもいるんですけど、なかなか(ミルの)出番がこなくて残念です。(ミルの)在庫が残るので、どうしようかなって」

 悪いムードを吹き飛ばしたのは7回でした。ツーアウト1・2塁のチャンスで、4番・吉田正尚選手がライトポール際に起死回生の同点3ランを放ち、試合を振り出しに戻します。

(リポート・スポーツバー)
「吉田選手が3ランホームランを打ちました!3-3の同点です!会場も盛り上がっています!」

男性客:
「今までもっと振りたかったんだけど、これを待っとったんですよ」

 運ばれてから2時間が経ったプレートの肉。「ペッパーミル」をするまで口をつけないと決めていたそうで、やっとありついていました。

 しかし続く8回、再び1点リードを許し、なおもピンチが続きます。この場面でマウンドを任されたのは、尾鷲市出身の湯浅投手でした。

伊勢志摩ボーイズの監督:
「湯浅や!抑えろよ、絶対抑えろよ」

 テレビをのぞき込むのは中学時代のコーチたち。さらにその後ろには、練習中のはずの選手たちも。

 湯浅投手は鋭く落ちるフォークで三振を奪うなど、追加点1点のみでピンチを切り抜けました。

伊勢志摩ボーイズの監督:
「こういう場面で出していただいたのは、湯浅の将来のためにはすごくいい。できれば逆転してほしいけどね」

 1点を追う9回ウラ、先頭の大谷翔平選手がツーベースでチャンスメイク。さらに1・2塁と一打サヨナラのチャンスで、ここまで3三振など不調の村上宗隆選手。

(リポート・スポーツバー)
「いった!よっしゃー!村上ヒット!村上がヒットを打って、サヨナラで日本が勝ちましたー!会場はとんでもない盛り上がりです」

 まさに「村神様」!これまでの不調に文句を言わせぬ、劇的なサヨナラタイムリー。

男性客:
「俺が言った通りでしょ!だからさー、うおー!」

 3大会ぶりの優勝へ、決勝は日本時間の22日午前8時から、相手は前回の王者・アメリカです。