トヨタのハイブリッドカー「プリウス」が7年ぶりにフルモデルチェンジし、16日に公開されました。

 16日、都内で行われたワールドプレミアで華々しく登場した「5代目プリウス」。

トヨタ自動車のサイモン・ハンフリーズ統括部長:
「滑らかだけでなく力強く安定していて、また大胆でシンプルなだけでなく、表面の動きも豊かです」

流れるようなボディーラインに、ルーフの頂点を後方に移動したことで、スポーティーなシルエットに。リアには薄型で立体的な横一線のランプを採用。

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5代目プリウスはこれまでと比べ、「デザイン性が高く、走って楽しい車」というイメージを押し出します。

(リポート)
「実際に試乗してみます。乗り心地がいいですね。モニターも非常に大きくて、前方も見やすく運転がしやすそうです」

燃費は4代目プリウスと同等のレベルで、カラーは8種類。ハイブリッドタイプは2022年の冬に、外部から充電が可能なプラグインハイブリッドタイプは2023年春の発売を予定しています。

 エコカーの代名詞となったプリウス。その始まりは…。

(リポート)
「ずらりと歴代のトヨタ車が並んでいますが、こちら1997年に発売された世界初の量産型ハイブリット車、初代プリウスです」

トヨタ産業技術記念館の担当者:
「こちらのハイブリッドには、ガソリンと電気モーターをかけ合わせて走行するという意味が込められております。以前の車ですと角ばった車が多かったんですが、こちらのプリウスはとても丸みのあるかわいらしいフォルムでございます」

初代プリウスは、発売翌年の長野オリンピックで聖火リレーの先導車になり、注目されました。

2003年に登場した「2代目プリウス」は燃費性能が向上。環境意識の高まりにもマッチし、アカデミー賞授賞式ではハリウッドスターがプリウスに乗って登場し、エコカー「プリウス」が世界に広く認知されました。

2009年に登場した「3代目プリウス」はエコカー減税も追い風となり、4年連続で国内の年間販売台数1位を獲得。

4代目プリウスは、涙が流れているようなヘッドライトや斬新なテールランプなど、個性的なデザインが話題となりました。初代からの累計販売台数は全世界でおよそ475万台と、トヨタを代表する車の一つとなりました。

 主にハイブリッドカーを扱う、名古屋市天白区の「エムズオート3号店」。これまでに500台以上のプリウスを販売してきました。

エムズオートの担当者:
「うちは(販売は)2代目からですね、20系プリウスって言われているものから。20系(2代目)、30系(3代目)、50系(4代目)…で今回の新型になります。若い方からご年配のお客さままで、本当に幅広くご購入いただいています。プリウスが一番燃費が良いのと、維持費も安いですし、長く乗れる車ですね」

当然、5代目プリウスへの期待感も高く、トヨタのSNSで公開される新情報を毎日チェックしてきました。お客さんからの問い合わせも日に日に増えているそうです。

エムズオートの担当者:
「いつ出るの?いつ注文できるの?どんなのが出るの?グレードは?色は?…みたいな。声をかけていただけるお客さまが本当に多いですね」

 熱烈なファンがいる一方で、今、自動車業界でプリウスの立ち位置が危ぶまれているのも事実です。

プリウスの2021年の世界販売台数は、およそ8万6000台とピーク時の6分の1に。世界では走行時に二酸化炭素を出さないEVへのシフトが加速し、ハイブリッドカーの存在価値を問う声も聞こえます。

 そんな中、トヨタが投入した「5代目プリウス」。

トヨタ自動車のサイモン・ハンフリーズ統括部長:
「いつまでハイブリッド車を造るんだと言われる。プリウスはみんなの手が届くエコカーです。カーボンニュートラルを実現するには、世界中のみんなで協力しなければならない。みんなの手が届くようなエコカーが必要」

 開発担当が、ハイブリッド車は価格面でまだまだ存在価値があると強調する一方で、5代目プリウスは「ハイブリッドリボーン」という開発コンセプトが掲げられました。

プリウスは環境性能が高いハイブリッドカーとして位置づけられてきましたが、16日にトヨタは「これまでプリウスが担ってきたハイブリッドの牽引役という役割は一つの節目を迎えました」とコメント。

背景にはEV戦略の巻き返しもあります。トヨタも2030年までにEVを30車種まで揃えるという計画を立てていて、遅れている「EVへの転換」を図っています。

そうした中で、5代目プリウスには環境性能だけではなく、デザイン性や走りの楽しさを強くアピールしているようです。